日本代表は9月23日に行われたキリンチャレンジカップ2022、アメリカ戦に2-0で勝利。
 前半はボール非保持の局面で相手を苦しめ、カウンターで幾度もチャンスをつくった。しかし、後半には相手の修正に対して組織的な対応ができず。カタール・ワールドカップ(W杯)に向けて、相手のプランBに対応する策を持っておく重要性を“再び”問われる試合となった。

■後半はプレッシングが空転

 日本は前半、4-4-2プレッシングで前線から積極的にプレッシング。相手のミス頻発もあり、4-3-3ビルドアップを破壊して何度もカウンターからチャンスをつくった。24分には伊東純也のインターセプトから速攻に転じ、最後は鎌田大地がゴールを奪って、先制に成功している。

 しかしアメリカは後半、ビルドアップの陣形を3-2-5に変更。

 日本は4-4-2を継続するも噛み合わせが悪くなり、途端にプレッシングは空転し始める。日本はプレスがハマらなくなっても前線から奪いに行き続けたが、前半のようないい形でのボール奪取はあまり見られなくなった。それでも、三笘薫がドリブル突破から追加点を挙げて、試合には2-0で勝利している。

 ハーフタイムにお互い選手を数人入れ替えたため評価は難しいが、アメリカの攻撃配置変更によって、前後半で「別のゲーム」になったとも言える。そんな今回の試合、日本人はどこかで見た記憶があるのではないだろうか。

■組織としての対応力を高められるか

 まず「相手のプランBに組織として対応できなかった」という意味では、ロシアW杯でのベルギー戦に似ている。こちらの2点リードになると高さを使った戦術(プランB)に変更され、そこから一気に守勢に回った試合だ。

 また、「相手の巧妙な配置に対して守備戦術を素早く修正できなかった」という意味では、アジアカップ2019決勝のカタール戦に似ている。こちらが4-4-2でプレッシングを仕掛けているのに対し、相手は3-5-1-1の配置。噛み合わせがハマらないまま綺麗に崩され、前半はほとんど何もできなかった。

 アメリカ戦は、この2試合ほど何もできなかったというわけではないが、構造としては類似している。今回は結果が「勝利」だったためあまり注目はされていないが、相手のプランB(配置変更)に対して修正しきれなかったという事実は大きい。今回のゲームにおける最大の問題点と言っていいだろう。

 本番で当たるドイツやスペインであれば、プランBへの変更はもっと早いだろうし、攻撃の威力も段違いだ。ロシアW杯ベルギー戦やアジアカップ2019決勝のような敗戦は、もう繰り返したくない。

 2度あることは3度あるのか。それとも3度目の正直となるのか。

 防戦が予想されるドイツ戦とスペイン戦までに、組織としての柔軟な守備修正力を磨いておきたいところだ。