日本代表はキリンチャレンジカップ2022でアメリカ代表、エクアドル代表と対戦。カタール・ワールドカップ(W杯)のメンバー発表を目前にして、序列に変動がありそうだ。

■「4-2-3-1」→「4-3-3」でアジア予選突破

 かつて日本は、2010年の南アフリカW杯にて岡田武史監督の下、大会前にシステムを4-1-4-1に変更。守備的なサッカーへとシフトチェンジした。それが功を奏して、日本は2度目となる決勝トーナメント進出を果たしている。

 当時と同じように、今回も大会目前でシステムと戦い方に変更が見られた。ただ、森保JAPANはすでに1度変化(へんげ)しているため、これは「2度目の変化」である。

 1度目の変化は、アジア最終予選のオーストラリア戦(ホーム)で見られた。森保一監督はそれまで4-2-3-1を採用していた中、突然4-3-3にシステムを変更。IHに守田英正と田中碧を起用し、ボール保持を安定させて勝利をつかみとった。そのまま最終予選は4-3-3で戦い、チームの基本システムとして定着。見事に7大会連続のW杯出場を決めている。

 そしてアジア予選が終わってからも4-3-3でのボール保持を継続。6月シリーズではFIFAランキング1位のブラジル相手にもポゼッションを志向していた。

 しかし、ここに来て2度目の変化が訪れる。

■大会を目前にして4-2-3-1へ回帰

 9月23日にアメリカと対峙した際、日本は4-3-3ではなく4-2-3-1を採用。前半はボールを持つことにこだわりを見せず、4-4-2プレッシングで流れを引き寄せ、カウンターから得点を奪ってみせた。

 9月27日のエクアドル戦でも同じように4-2-3-1を採用。この試合ではボール保持を中心とした戦いをプランニングしていたはずだが、前半は相手のインテンシティに押されて思うようなサッカーを展開できなかった。それでも上田綺世や相馬勇紀、鎌田大地などの登場で流れを引き戻し、後半は何度かチャンスを手繰り寄せられていた。

 この「4-2-3-1回帰」はドイツとスペインを想定したものだと思われる。実際、試合運びが上手くいったアメリカ戦ではCHに強度で戦える遠藤航と守田がスタメンで起用されており、ボール非保持の局面を安定させて戦う狙いが見てとれた。

■再びの変化は序列に変動をもたらすか

 再びのシステム変更の影響を特に大きく受けるのが、先に触れたCHのポジションだ。

 4-3-3のときは3枚だった中盤が、4-2-3-1では2枚になる。その分、カタールW杯本番――特にドイツやスペインと戦うときには、このポジションには高い強度が求められる。こうなると、田中や柴崎岳をスタメンでCHに組み込むのはインテンシティを考慮すると少々厳しいものがある。ここのファーストチョイスは今のところ遠藤と守田が筆頭候補だろう。

 また、今回の2試合で、森保監督は終盤に5バックへのシステム変更を実施。これも本番を想定した戦術プランのはずで、序列に変動をもたらす要因となり得る。

 メンバー入りに際し、誰がダメージを受けて誰が恩恵を受けるのか。「2度目の変化」はW杯に向けて小さくない影響をもたらしそうだ。