攻撃力はさらにアップした
ワールドカップ・カタール大会を前に、ブラジル代表監督チッチが取り組んできたのがネイマール&ヴィニシウス・ジュニオールの関係構築だった。
ヴィニシウスはちょうど3年前となる2019年9月に行われたペルー代表との親善試合で代表デビューを果たしているものの、カタール大会へ向けた南米予選の序盤はほとんど出番がなかった。ここはまだ覚醒前と言える段階だったため、仕方がないだろう。当時のヴィニシウスは期待の若手との枠から抜け出せていなかった。
しかし、ヴィニシウスは昨季リーグ戦で21ゴールと大ブレイク。チッチも無視できない存在となったわけだが、悩みの種となったのはヴィニシウスとエースのネイマールが左サイドを得意エリアとしていたことだ。2人の同時起用には別のアイディアが求められることになった。
当時はネイマールがパリ・サンジェルマンで思うように調子を上げていなかったことから、ヴィニシウスを左ウイングの主力とすべきなんて意見もあったが、チッチはネイマールのポジションを中央へと移すことで同時起用を実現。ネイマールにはより自由が与えられることになり、ブラジル『O Globo』はネイマールとヴィニシウスの関係について「弓と矢」と表現している。
ネイマールはパリでも中央でプレイする機会が増えており、今季は絶好調だ。カタール大会を前にネイマールとヴィニシウスの共存が完成へ近づくことになり、ブラジルの攻撃力はさらにレベルアップしたと言える。
30歳を迎えたネイマールはゲームメイクに絡む機会が増えており、単純な突破力では若いヴィニシウスの方が上回っているかもしれない。強烈なスピードで左サイドを攻略してくる今のヴィニシウスは世界屈指の左ウイングと言っていい。この若きアタッカーをベンチへ置いておくのはもったいないというものだ。
果たしてワールドカップ本番で弓と矢はどんな連携を見せてくれるのか。また1つブラジルは強化されることになり、ワールドカップ制覇へ武器は着実に増えている。