個々のレベルが上がっているサッカー日本代表において、長年に渡って弱点と言われてきたのがGK(ゴールキーパー)だ。
それでも徐々に欧州でプレーする選手は増えており、11月20日に開幕を迎えるFIFAワールドカップ・カタール大会(カタールW杯)では、これまでに招集されてきたGK権田修一(清水エスパルス)、GKシュミット・ダニエル(シントトロイデンVV/ベルギー)、GK川島永嗣(ストラスブール/フランス)、GK谷晃生(湘南ベルマーレ)から選出される可能性が高いだろう。
そんななか、ポルトガルから朗報が聞こえてきた。2021年1月にポルティモネンセへと移籍したもののなかなか出場機会に恵まれなかったGK中村航輔が、定位置を確保しつつあるのだ。レギュラーだったGKサムエル・ポルトガルの移籍も影響しているが、しっかりとクリーンシート(無失点試合)を記録するなど確かな実力を示している。
中村のクラブからの評価の高さは、9月27日には2025年6月末までの契約延長が発表されたことからも明らかだ。Jリーグでプレーしていた頃とは別人のような野性味あふれる風貌となり、2026年のFIFAワールドカップに向けた日本代表に名乗りを挙げるかもしれない。
ここでは、そんな中村と共にに将来の日本代表入りを争うであろう、有望な若手GK5名を紹介する。
鈴木彩艶(浦和レッズ)
小学生時代から浦和レッズの下部組織で育ち、年代別日本代表では飛び級での招集も何度となく経験してきたGK鈴木彩艶。今年7月のE-1サッカー選手権では、国内組で編成された日本代表にも招集された。
チームでは元日本代表GK西川周作の牙城を崩せずにいるが、それでもJ1第28節の鹿島アントラーズ戦と第29節の柏レイソル戦ではフル出場。特に柏戦ではビッグセーブを何度も見せ、勝利に大きく貢献している。セービング能力はすでに素晴らしいものがあるだけに、実戦経験を積みハイボールへの対応などを磨けば一気に飛躍する可能性を持つ。
谷晃生(湘南ベルマーレ)
ガンバ大阪のジュニアユースからトップチームに昇格したGK谷晃生は、2020シーズンからは湘南ベルマーレへと期限付き移籍。これによって出場機会を得ると急成長を遂げた。残留争いをするチームを何度となく救い、さらに今季まで期限付き移籍を延長している。
年代別日本代表での経験も豊富で、東京オリンピックでも正守護神を務め全6試合に出場。若手選手はハイボールへの対応を苦手とすることが多いものの、谷は実戦経験の多さによるものか安定感があり、飛び出しにも躊躇がない。また蹴り方に派手さはないが、キックの精度も十分。経験値はここで紹介する選手の中でも抜きん出ており、まずはカタールW杯のメンバー入りを果たすか要注目だ。
大迫敬介(サンフレッチェ広島)
ここで挙げる5名の中でも、前述の谷と並んで日本代表の守護神の座が近いGK大迫敬介。厳しいシュートを数多く止めるいわゆる「ビッグセーバー」ではないが、ミスが少なく安定感があり総合力は非常に高い。
2018年にサンフレッチェ広島ユースからトップチームに昇格した大迫は、2019年からJ1で経験を積み日本代表でも3試合を経験している。昨年の東京オリンピックではメンバー入りしたものの出場とはならなかったが、この悔しさはフル代表で晴らしたいところだ。
佐々木雅士(柏レイソル)
中学生の頃から各年代別日本代表に選出されてきた有望株のGK佐々木雅士。20歳にしてJ1で守護神の座を掴んている。韓国代表GKキム・スンギュがアル・シャバブ・サウジ(サウジアラビア)に移籍したこともあり、J1第14節のFC東京戦から柏レイソルのゴールを守るようになった。
身長は185cmとGKの中では特別高いわけではないが、優れた反射神経と跳躍力でゴールを死守している佐々木。珍しい左利きで、精度の高いキックからビルドアップにも大きく貢献できるプレーヤーだ。
小久保玲央ブライアン(ベンフィカ/ポルトガル)
ここで挙げる5名の中で、唯一の海外組のGK小久保玲央ブライアン。柏レイソルの育成組織で育つと、2018年のアルカス国際カップで大会ベストGKに選ばれたことでオファーが届き、2019年1月にベンフィカのU-23チームへ加入した。現時点でトップチームでの出場はないが、ベンチ入りは経験しており1部デビューまであと一歩と迫っている。
193cmの高身長と身体能力の高さをいかしたビッグセーブが多く、小学生の頃までFWの選手だったことから、足元の技術も高い小久保。9月に欧州遠征が行われたU-21日本代表の一員にも招集され、スイス戦でスタメン出場している。