最終節が勝負だ

11月下旬に予定されているワールドカップ・カタール大会のスタートまでもう時間は残されていない。日本代表はすでにメンバーを発表しており、17日にカナダ代表と親善試合を戦って本戦に臨むことになっている。

米『ESPN』では各グループの展望を行っており、日本、ドイツ、コスタリカ、スペインがいるグループEは順当にW杯優勝経験があるドイツとスペインのグループステージ突破を予想している。日本代表としては悲願の8強入りを目指すことになるが、この予想は妥当だ。

森保一監督率いるサムライブルーはこの予想を覆す必要がある。アジア最終予選では思うような結果は得られなかったが、その後のテストゲームでは手応えのある試合もあり、先日のアメリカ戦ではW杯に出場するチームを圧倒した。

2戦目のコスタリカ戦で勝ち点3を獲得するのは前提としてグループステージ突破にはまだポイントがいる。残りの2試合を引き分けるか、どちらのゲームで白星を挙げることができれば16強入りは見えてくる。勝機があるとすればグループステージ最終節のスペイン戦だろう。

2008年から2012年の4年間で国際大会の主要タイトルを総なめにした過去を持つスペイン代表。EURO2008、W杯・南アフリカ大会、EURO2012を制した4年間は黄金期と呼ばれており、世界を支配した。しかしそこから苦戦が続いており、EURO2020のベスト4が近年の最高成績である。

現在の指揮官は選手、監督としてバルセロナにいたルイス・エンリケが務めており、そこからより現代にアップデートしたサッカーを展開するようになった。直近のUEFAネーションズリーグではポルトガル、スイス、チェコと同組となったが、1位でシーズンを終えている。

W杯・カタール大会でも優勝候補の一つだが、いくつかの課題を抱えている。それは同メディアも主張する絶対的な9番の不在だ。基本的にスペイン代表は[4-3-3]を採用しているが、センターフォワードに入る選手が定まっていない。アルバロ・モラタ、マルコ・アセンシオ、フェラン・トーレス、ダニ・オルモと候補は多いが、絶対的な信頼を得られているストライカーがいないのだ。

日本代表はこの弱点につけこみたい。基本的には4バックだが、5バックもオプションとして用意しているようで、堅守を披露することができれば勝機はある。幸い板倉滉や冨安健洋と欧州でもトップクラスとされる守備者は揃っており、どこま攻撃を跳ね返すことができるか。

また強気なライン設定も弱点となってしまっているポイントだ。スペイン代表はボールを保持して相手を押し込むスタイルを基本としているが、その際ハイラインの裏を突かれることが多く、実際にネーションズリーグのチェコ戦ではその形から失点を喫している。日本代表には伊東純也や前田大然のようなスピードを武器とする選手は多く、快足を武器にスペイン代表のディフェンスラインをかき乱していきたい。

ドイツ代表との違いはこのディフェンスラインであり、センターバックのエリック・ガルシアやアイメリック・ラポルトはスピードタイプのFWを苦手としている。対するドイツはアントニオ・リュディガーをはじめとした強く速い守備者が揃っており、自慢のスピードすら完封されてしまう恐れがある。

予想を覆すには番狂わせを起こす必要があるサムライブルー。ドイツとスペインで弱点が明確なのはスペイン代表であり、日本代表はFIFAランキング7位の強豪を打ち破ることはできるのだろうか。