日本代表の守田英正は現在スポルティングCPに所属。中盤として必要なあらゆる能力を持つ万能型のMFが11月9日に世に出したのが『「ずる賢さ」という技術 日本人に足りないメンタリティ』(幻冬舎)だ。同著では、プレーするうえでの「ずる賢さ」について綴られているが、その思考を「川崎フロンターレが進化させた」と書かれている箇所がある。

守田は「チーム選びは人生を左右する重要なテーマ」として、チーム選びをする際には「チームの中で自分が一番ヘタクソな存在かどうか」というのを明確な基準にしており、その理由から流通経済大学、川崎フロンターレ、スポルティングを選択していったそう。

大学4年になりいくつかのJリーグのクラブからオファーが届いていたという守田だが、フロンターレの練習に参加してみて「俺が一番ヘタや!」と衝撃を受けてフロンターレ入りを決めることに。「試合に出られないかもしれない」という説得を受けても、そこで自身が活躍すれば日本代表も見えてくると、決心は揺るがなかったという。

フロンターレに入り最初に取り組んだのが「止める・蹴る」の技術を習得する練習。フロンターレには「トラップはボールを完全静止させなければいけない」というルールがあり、「完全静止」には極めて厳しい定義があった。守田は10回中10回止めるレベルになるまで、2年を要したという。

基礎技術に加えて、守田はフロンターレでポジショニングの概念を学んだそう。もともと相手との駆け引きについてアイデアを持っていたが「立ち位置で相手を動かす」という概念を取り入れたという。

守田は著書で最も影響を受けたのは中村憲剛だと回顧。もともとボールを受けるために動くのが好きだったという守田に、中村は「止まることも意味があるぞ、いい位置にいれば立っているだけで相手は嫌だよ」とアドバイス。これで守田の発想の幅が広がったのだとか。

また、フロンターレでは「フリーの概念」そのものが違うと守田は解説。「今後、日本のサッカー界全体に広がっていくべき」と語っている概念やフロンターレの強さの秘密をぜひ同著で確認してみてほしい。

photo:徳丸篤史 Atsushi Tokumaru