11月23日にドイツ戦を迎える日本代表。メンバー入りした面々が続々とカタール・ドーハ入りし、最後の調整に入っている。本番まで一週間を切った中、唯一の「テストマッチ」として行われるのが17日のカナダ戦だ。
テストマッチとはいえ、常に勝敗は気になるところなのだが、今回のカナダ戦に限ると勝敗よりももっと重要な事がある。乱暴に言えば勝敗は二の次。それよりも確認しておきたいことや、試しておきたいこと、そして仮想本番を経験することの方が大事だ。
我々サポーターの立場で見れば、この試合からドイツ戦の景色を予測することも大切なポイントになる。今回は、そんなカナダ戦のチェックポイントをチェックしていこう。
怪我人の状態は?
脳震とうを起こした遠藤、太ももに違和感を抱える守田、そして直前に体調不良を訴えた三笘は、この試合への帯同を取りやめた。
この3人以外にも怪我の回復と戦っている選手が数名いる。板倉、浅野、冨安などだ。特に冨安の回復度は代表の戦略と戦術に大きな影響を及ぼす。
このカナダ戦に彼らは出場するのか?もし出場した時には、プレーの内容はどうなのか?「これなら心配ないな」と思えるような走り方、身体の使い方、そして表情などには最大の注意を払ってチェックしていきたい。
スリーバックを試す?
やはりフォーメーションは常にチェックポイントの筆頭だ。日本代表は、まず間違いなく「4-2-3-1」でスタートするのだろうが、ダブルボランチの遠藤と守田を欠くカナダ戦なのだから、ここは思い切った「テスト」をしてもいいはずだ。
例えば4-3-3。ラスト20分で1点ビハインドの場合には前掛かりにならざるを得ない。その時の布陣の予行演習としてテストしたい。またラスト15分で1点リードの場合は“逃げ切り体制3バック”を敷くことも必要になってくる。その場合は誰を使ってどんなラインになるのか?例え5分でも3バックは見ておきたいが、カナダ戦で出現するだろうか。
キーパーは誰か?
このカナダ戦のGKが、おそらくドイツ戦のスタートピッチに立つだろう。権田か?シュミットか? 安定と実績の権田を取るのか?勢いがあり、足元のテクニックにも秀でるシュミットを抜擢するのか?現在予想が二分されているGK。その答えが17日にわかるだろう。
トップは誰か?
大迫の落選によって、メンバーに選ばれたトップの選手は全員「W杯未経験者」となった。誰がピッチにたっても初舞台となるトップには誰を持ってくるのだろうか?GKと同様にこのカナダ戦に使われる選手が本命となるはずだ。前田か?それとも上田か?時間帯によっては鎌田がトップに入ることだってあるかもしれない。注目しておきたいポイントだ。
久保と南野の両立は?
代表メンバー26人を選ぶ直前に行われたアメリカ戦とエクアドル戦。前者に久保が出て、後者で南野がピッチに立った。今、この二人の序列はどちらが上なのだろう?そしてこの二人が両立して同時にピッチに立つことはないのだろうか?二人が並ぶとどんな化学反応が起きるのか?鎌田がトップに上がり、南野がトップ下に入るとそれが実現する。カナダ戦で試してもいいはずだ。
クリーンシートで終えられるか?
どの監督も直前のテストマッチで、最も重視するのは「ディフェンスの連携の精度と強さ」の確認になる。バイタルにボールを入れられた時のマークのつき方。最終ラインの上げ下げ。セットプレーでの対応。コーナーの処理。90分間で相手を「0」に抑え込めば、少なくとも勝ち点0は回避できる。直前マッチをクリーンシート(完封)で終えればチームに大きな安心と自信を生むだろう。
怪我人が出ないこと
消極的に聞こえるかもしれないが、この試合で最もケアしなければならないのは怪我である。直前テストマッチなので「削りまくる」シーンは多くないだろうが、かといってボディコンタクトが「0」という試合はありえない。ちょっとした接触の角度で思わぬアクシデントが出ないとも限らない。今、怪我人が出ると全てのゲームプランが崩れてしまう。カナダ戦の最大のチェックポイントは「新たな怪我人が発生しないこと」であるとも言える。
photo:徳丸篤史 Atsushi Tokumaru