サッカー日本代表は17日、国際親善試合でカナダ代表と対戦し1-2で敗れた。
序盤の9分にMF相馬勇紀のゴールで日本が先制すると、21分にカナダがコーナーキックからDFスティーブン・ヴィトーリアがゴールネットを揺らして同点に。その後は両者ともチャンスの数が少なく、1-1のまま試合終了かに思われた。
ところが後半アディショナルタイムの94分、まさかの事態が起こる。日本代表がカウンターに出ようとしたところでボールを奪われ、逆にカナダ代表のカウンターを食らってしまう。そして右サイドを破られ、ペナルティエリア内でDF山根視来が堪らずMFマークアンソニー・ケイをファウルで止めてしまった。
このPKをFWルーカス・カヴァリーニが決め、95分にカナダ代表が逆転に成功。山根の痛恨のファウルで与えたPKが決勝点となり、日本代表が敗れる結末となってしまった。
カタールワールドカップの初戦を前にした最後のテストマッチで、敗戦のきっかけを作ってしまった山根は「もっと早く準備をしなきゃいけなかったなと。結果的にはそう思っています」と肩を落とした。
「相手に(ボールが)入った瞬間、あそこで足を出さないで任せるかという判断だったんですけど、結果的に『行かれる』と思ったので、アタックしてしまいました。ああなった場合、たぶん(味方に)任せた方が、まだ守れる可能性があったと思うので、その判断は必要だとは思います。けど、ああなる前に準備はもっと必要だと思っています」
カウンターのカウンターを食らった際、日本のディフェンス陣の足が一瞬止まり、全員がボールウォッチャーになってしまった。それも迷いが出て、遅れて対応せざるを得なくなった要因だろう。
1-1の同点という状況で交代出場し、山根は「守備のところで少し相手のウイングバックのところが空くシーンがあったので、チームでどう共有してあそこの距離を詰めていくのか」という意識を持ってピッチに入った。
そして「まずはしっかりサイドで対応するところと、スピードに乗らせないところまで距離詰めるところは」に「進歩があった」と手応えも得ていた。山根にはゴールポスト直撃のシュートというビッグチャンスもあった。
だからこそ、最終盤でのPK献上には悔いが残る。ワールドカップのグループステージに置き換えると、もうすぐ勝ち点1を確保できたにもかかわらず、自分のミスで「1」を「0」にしてしまったことになる。絶対に勝ち点を落としてはならない展開で、最も避けなければならないプレーだった。
ワールドカップ本番でなくてよかったと見ることもできよう。しかし、直前のテストマッチに後半途中から出場して、終盤に軽率なプレーで相手に勝ち点獲得の機会を与えてしまったという事実は、極めて重い意味を持つ。
今回の山根のような失点に直結する不用意なプレーは、チームにとって重大なリスクとみなされ、森保一監督がワールドカップ本番での起用をためらうことになっても不思議ではないのである。「もしかしたらまた…」という懸念は、1つの勝ち点も落としたくない展開で起用を見送るだけの十分な理由になるだろう。より緊張感があり、普段通りのパフォーマンスを発揮しづらい場では、「再発」の危険が増す。
「プレッシャーがかかる試合で何ができるかが大事。今日はこういう結果になりましたけど、根底として、まずは自分がしっかりサッカーを楽しむところ、国を背負って戦うところ、泥臭さを出さないといけない。(ドイツ代表戦まで)あと1週間もないですけど、ブレずにやっていきたいと思います」
カタールワールドカップ期間中、山根に名誉挽回のチャンスは訪れるだろうか。
(取材:元川悦子、文・構成:編集部)
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