[国際親善試合]日本1-2カナダ/11月17日/アルマクトゥーム・スタジアム(UAE)
ワールドカップ前最後のテストマッチの相手はカナダ。日本と同じく、ワールドカップに出場する国とのゲームで、相馬のゴールで先制したけど、コーナーから失点。さらに終了間際にPKを決められて逆転負け。
カナダは思った以上に強かったね。布陣を柔軟に変形させたり、システマチックなチームで、高さもあるし、フィジカルもある。今回のワールドカップも現地で観戦予定で、カナダはノーマークだったけど、注目しようと思う。ベルギー対カナダ、楽しみになってきたね。
一方の日本は、なんだろうな…9月のエクアドル戦みたいだったかな。たしかにカナダ戦のスタメンの顔触れには目新しい部分もあって、それぞれのアピールも求められたんだろうけど、やっぱり連係面で今ひとつの感じは拭えなかった。それはまあ、しょうがないんだろうけど。
もっとも、メンバーは正直、どうでもいい。森保ジャパンは“26人全員”で戦うつもりで、コンディションの良い選手が先発にチョイスされるはず。その意味では、何人かの怪我明けの選手がプレーできたし、準備としては良かったんじゃないかな。
勝利という結果は出せなかったのは残念だったけど、それよりも、これが本番でなくて本当に良かったと思う。
改めて「怖いな」と痛感したのが、中盤で攻めに転じようとした時にボールを奪われること。カナダ戦でも、そういうシーンが何度かあったし、ピンチにつながる時もあった。
中盤で受けて、前を向ければチャンスは広がる。ただ、相手も当然、そこは狙っているわけで、簡単にはやらせてくれない。だからといって、前を向かずにバックパスだけでは、攻撃も展開できない。
そこの勝負で、日本はドイツ、コスタリカ、スペインといった強豪国を相手に、どこまでやれるか。カナダという好チームを相手に、可能性を感じさせるプレーがあったかと言えば、そこまで多くはなかった印象だ。
ワールドカップはもちろん、チャンピオンズリーグのようなハイレベルな舞台でも、中盤での攻防が決定的なチャンス、あるいはピンチに直結する傾向がある。1つのミスが命取りになるし、逆に言えば、大胆かつ思い切ったプレーがビッグチャンスを生み出す。
最後の局面はもちろん大事だけど、ゴールに至るまでの重要な起点が中盤であり、チームの生命線だと再認識させられた。
当たり前と言えば、そうなんだけど、カナダ戦を見る限り、少なからず不安を覚えたのも事実。ただ、ボランチで先発した柴崎や田中は十分に能力もセンスもあるし、遠藤や守田もいる。彼らが“世界の怖さ”とどう向き合って、振る舞えるか。そこで少しでも優位に立てれば、勝利の確率はグッと高まると思う。
【著者プロフィール】
岩本輝雄(いわもと・てるお)/1972年5月2日、50歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ/平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた“40メートルFK弾”は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを観戦&研究する日々を過ごす。カタールW杯は現地取材。
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