カタールW杯における最大の懸念が、暑さだった。通常の6~7月ではなく11~12月に開催時期を無理やりずらしたのも、中東特有の灼熱が最大の原因だった。
サッカーダイジェスト特派の一員として一足早くドーハ入りした11月9日からの約1週間は、昼間いつも30度超え。最高で36度という日もあった。ただ、それも徐々に下がりはじめ、11月20日の開幕戦を迎える頃には最高で29度、最低で22度くらいまで落ち着いてきた。
とはいえ、昼間は30度近くまで上昇するうえに日差しも強く、日本代表のトレーニングを取材していても選手たちは汗だく。なかなか厳しい環境に見えた。
そうなると肝になるのが、スタジアムの空調だ。今大会の会場となる全8スタジアムは空調が完備されており、試合中は館内が平均22度に保たれるとされていた。ただ、いずれの会場もドーム型ではなく上部が空いていることに加え、そしてW杯のテストも兼ねていた9月9日のルサイル・スーパーカップでは空調が効かず蒸し風呂状態と報じられていただけに、小さくない懸念も広がっていた。
そして、迎えた開会式と開幕戦。会場となったアル・バイト・スタジアムは“暑い”どころか、むしろ“寒い”くらいだった。キックオフ時点で気温が24度まで下がっていたのは事実だが、何しろクーラーがガンガンに効いていたのだ。記者席の真後ろにあった大きなダクトからは、ずっと冷風全開。半袖では耐え切れず、バッグに忍ばせていた長袖を慌てて着込んだほどだ。
メディアや観客が座るスタンドはそんな状態だったが、肝心要のピッチレベルはどうだったのか。開会式と開幕戦をピッチサイドで撮影したサッカーダイジェスト特派カメラマンはこう語る。
「僕は半袖だったんですが、かなり寒かったです……。壁の側面にダクトがずらっと並んでいて、そこから強い冷風がずっと吹き込んでくるんですよ。ダクトの角度を変えようとしたあるカメラマンは帽子が吹き飛ぶほどでした。ガタガタ震えるほどではなかったんですが、寒いです。体感的には20度か、もう少し下かも。次の試合ではしっかり上着を持っていきたいと思います。なんだったらピッチレベルは厚手のパーカーくらい欲しいです」
20度かそれを下回る気温は、サッカーをするには最適だろう。少なくとも試合中は暑さがプレーの邪魔をすることはなさそうだ。ただ、トレーニング場はさすがに冷房が完備されているわけではない。選手たちは練習と試合の寒暖差に苦しむ大会となるかもしれない。
取材・文●白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)
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