●サッカー日本代表に帰ってきた遠藤航

サッカー日本代表は23日、FIFAワールドカップカタール・グループリーグでドイツ代表と対戦する。脳震とうの影響で別メニューが続いていた遠藤航もチームに復帰。来る決戦へのイメージを膨らます日本代表のキーマンは、ドイツ代表と対峙する上で「2つの判断」の重要性を説く。(取材・文:元川悦子【カタール】)
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 11月20日に開幕したカタールワールドカップ(W杯)も2日目に突入。カタール代表がエクアドル代表に0-2で苦杯を喫したのに続き、イラン代表もイングランド代表に2-6で大敗とアジア勢は序盤から苦戦が続いている。

「アジアと欧州・南米のレベル差はまだまだあるかなと思いますけど、こういう大会は本当に何が起こるか分からない。先輩と話していても、『最後に気持ちが強いチームが絶対に試合をモノにできる』と。それは僕自身も感じてます。だからこそ、僕らにもチャンスがあると思ってます」

 浅野拓磨はこう語気を強めていた。その言葉通り、日本代表は他のアジア勢とは異なるスタートを切る必要があるのだ。

 重要な初戦・ドイツ代表戦は明日23日に迫っている。左ふくらはぎ違和感で別メニュー調整を強いられていた守田英正が、21日の冒頭のトレーニングに復帰。ようやく26人全員が揃ったのは朗報と言える。

 彼とともに17日のカナダ代表戦を回避した遠藤航も19日から全体練習に完全合流。「違和感とかは特にない。基本的にはもう問題ないです」と断言するほどコンディションが上がってきた様子だ。

 遠藤・守田不在のボランチ陣をどうするかというのは、ここまでの重要テーマだっただけに、まずは主軸の1人がピッチに立てるメドが立ったのは大きなプラス要素。森保一監督もまずは安堵しているはずだ。

 そのうえで、遠藤と誰が組むかが、1つの注目点になってくる。

●田中碧は2部、柴崎岳が活きるのは後半。浮上する相棒は?

 普通に考えれば、東京五輪でコンビを形成し、最終予選でも3ボランチとして主力を担った田中碧が最右翼。だが、彼はドイツ2部を主戦場にしていて、バイエルン勢と対峙した経験がない。ドイツ2部もフィジカル色が濃く激しいリーグではあるが、キミッヒやゴレツカのようなタイプの選手はなかなかいない。不安要素がないとは言い切れないのだ。

 本職のボランチとしては、長短のパスを配球できる柴崎岳もいるが、彼の長所を生かせるとしたら、後半途中からになるだろう。カナダ代表戦でボランチに入った鎌田もあくまでトップ下がメイン。となれば、守備面で計算できるマルチ人材の板倉滉も浮上してくる可能性はある。

 そのいずれと組むにしても、遠藤がかじ取り役を担うのは確か。強度とトランジションに秀でたドイツ代表と戦う場合には、そこで遅れを取ったらビッグチャンスを作られかねない。相手にボールを保持されたとしても、守備で主導権を握るような展開に持ち込めれば、日本代表にも勝機が見えてくる。

 戦術眼の高い遠藤はそのあたりを心得ているはずだ。

「立ち上がりはもちろんアグレッシブに入りたい。相手も初戦ってこともあって、最初は固さもあるだろうし、簡単にボールを持たせてしまう展開にはしたくない。立ち上がりのところの陣取りじゃないですけど、アグレッシブにどんどんサッカーを進められるような展開に持っていきたい。中途半端に行くのは避けたいんで、前から行くのか、しっかりブロック敷いて守るのかってところは、ハッキリしていけばいいと思います」

●シュトゥットガルトで経験する「日本代表とは違うやり方」

 彼は守りのメリハリをつけながら、ドイツ代表に脅威を与えていく構え。それこそが、守備で主導権を握ることにつながる。そのうえで、攻撃に転じる鋭さと迫力を出せれば、下剋上を起こせる確率が高まりそうだ。

「僕は守備と攻撃っていうのはつねに連動してると思ってる。奪った後に味方がどこにいるのかというのは、自分の中ではある程度、イメージできています。そこで、速攻で行くところ、ゆっくりボールを持つという2つの判断をしっかりしていきたい。時間帯も含めていい判断をしていければいい」と遠藤は全て速い攻めばかりを仕掛けるのではなく、時にはボール保持して体力を温存しながら遅攻を選択する必要性も強調した。

 このようにリズムの変化をつけられるのも、中盤のダイナモ・遠藤の強み。彼は「ブンデス・デュエル王」のイメージが強いが、今季序盤はインサイドハーフを主戦場にしていて、決定的なパスの供給や2列目からの飛び出しを積極的に行っていた。

 本人も9月の時点では「(マタラッツォ前)監督が『高い位置へ行け』と。代表とは違うやり方なんで、難しさ感じながらやってますけど、まあでもそこは自分の中では常にトライしてやってます」と前向きに語っていた。その経験が攻撃センスやゲームメーク力を磨くことにつながったはず。今回のドイツ代表戦でも貴重な経験値を存分に発揮すべきだ。

●「それがイコール対策」遠藤航が膨らませるイメージ

 彼が攻守両面でどっしりと構え、チームに安定感を与えてくれれば、バイエルン勢主体の相手MF陣にそこまで崩されないだろう。中盤が機能しなければ、ユスファ・ムココらFW陣に決定的なボールを出されることもない。やはり勝敗を分けるのは中盤の攻防。それを担う遠藤には大きな期待が寄せられるのだ。

 改めて振り返ると、チームに帯同しながら出番なしに終わったロシアW杯を経て、彼自身は劇的な飛躍を遂げた。特に2019年夏にドイツへ赴いてからの成長は凄まじいものがあった。本人も3年あまりのプレー経験から、ドイツ代表の面々とも互角に渡り合える自信と駆け引きを身に着けたという自負がある。

「特にドイツ対策というのはない。ようは相手選手の特徴を知っておくことが大事だと思うんです。ブンデスの経験から相手の良さ、何をしてくるかが分かっているので、それがイコール対策。大事なのは、今までキミッヒやゴレツカ、サネといったドイツ代表の選手たちと自分が戦える状況にいたこと。だから、これから何かするというのは特にないし、自分の4年間の準備期間が全てここにつながっている。持ってる全てをぶつけるだけだと思ってます」

 そう言って目を輝かせた背番号6がカタールで異彩を放ってくれれば、日本代表は必ず前向きな方向に進んでいく。そうなるように、遠藤航にはベストパフォーマンスを出し切ってほしいものである。

(取材・文:元川悦子【カタール】)

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