森保ジャパンは11月23日いよいよカタール・ワールドカップの初戦を迎える。

 19日から4日連続で非公開練習を行なっている日本代表は、入念に戦術の確認をし、“ドイツ対策”を準備している様子。チームは複数の負傷者を抱えていたが、脳震盪からの回復プロトコルを終えた遠藤航、カナダ戦を回避した冨安健洋はドイツ戦に間に合う見込みだ。

 発熱の影響で合流が遅れていた三笘薫も「ドイツ戦までは100パーセントに戻せると思います」と語っている。

 一方で左太ももに違和感を覚えていた守田英正は、冒頭15分が公開された21日のトレーニングではランニングなど全体メニューに合流。もっとも無理をさせられる状況ではないはずだ。

 その点で日本はボランチを誰が組むかが大きなポイントになる。遠藤が先発に戻れるとすれば、その相棒を柴崎岳と田中碧が争う構図か。もしくは板倉滉、鎌田大地を回すプランもあるのかもしれない。ボールを持たれる展開が増えるはずだが、田中はこう語っていた。

「入りは重要だと思うので、受けに回ってしまう展開もあだろうし、どうやって盛り返すかという時に、ボールを握って盛り返せるのが理想ですが、守備から盛り返すことができればひとつの手段になりますし、そういう意味では守備から流れを作るというのもすごく大事なことなのかなと思います。

 勝つことがすべだと思うので、握って勝てるならそれで良いと感じますし、点を取らなくはいけない時にどういう風に取るのか。握ったほうが良いのか、握らずにショートカウンターで攻めるのか、90分、笛が鳴ってみないと分からない部分もあります」
 
 選手たちが口を揃えるように、ドイツの軸を担うのはボランチのキミッヒで、相棒のギュンドアンもしくはゴレツカを含め、相手の中盤の動きを制限できるかがまず大きな鍵となる。

 日本は相手ボランチが最終ラインに落ちて行なう“3枚回し”への対応が大きな課題で、解決策を用意できているかは大切な要素だろう。

 ドイツはCFが定まっておらず、ハベルツが先発する可能性が高まっているが、トップ下に好調のムシアラを入れた場合は、ミュラーが最前線に入る形もある。日本のCB陣は誰が出てくるか読めない部分に逆に難しさを感じているのかもしれない。

 ドイツのアタッカーは多士済々で、左のザネ、右のニャブリは突破力、決定力ともに備えた怖いアタッカー。彼らには粘り強い守備が売りの酒井宏樹、長友佑都らを当てたい。一方で右にホフマンが入る形も十分に考えられ、この技巧派MFに先発されたほうがマークに苦慮するかもしれない。

 GKシュミット・ダニエルは「逆のウイングがキーパーのところまで狙っているというシーンをよく見る」とも語っており、日本としては一瞬たりとも油断できないだろう。

 日本の攻撃に関しては奪ってから素早く攻めたいところだが、ドイツは真骨頂の“ゲーゲンプレス”で攻→守のスピーディな切り替えで、即時奪還を目指して果敢にプレスをかけてくる。前田大然のスピード、鎌田大地のパスセンスなどを生かしてショートカウンターを仕掛けたいが、攻撃に移ろうとした瞬間に奪い返されれば、ピンチにつながる。注意が必要だろう。

 さらにセットプレーを詳細に準備できているかも重要だ。カナダ戦で失点した守備面の改善、なかなか点を奪えない攻撃面で“秘策”を用意していることに期待したい。

 少ないチャンスをモノにして日本は勝点を奪えるか。すべてを懸ける想いでドイツ戦へと臨む。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト特派)