互いに決定力欠きスコアレスドロー
MATCH 12 グループF 第1節 2022年11月23日 13:00キックオフ(会場:アル・バイト・スタジアム)
モロッコ 0-0 クロアチア
2022年開催のワールドカップはカタールで行われており、基本的にホームなのはカタールのみだが、このモロッコ対クロアチアの一戦には多くのモロッコサポーターがアル・バイト・スタジアムに駆け付けている。スタジアムにはモロッコの赤いユニフォームを着たサポーターが集結しており、モロッコがボールを持てば声援、クロアチアがボールを持つとブーイングを浴びせる。クロアチアとしては難しい“疑似アウェイ”環境で初戦を戦うことになった。
両チームともに実力者が揃っており、前半から互角の内容だった。その中でもモロッコは攻撃面で違いを見出そうとする。相手を押し込めればハキム・ツィエクの左足からチャンスを作ることができ、カウンターではアクラフ・ハキミの快足が生きる。センターフォワードのユセフ・エン・ネシリは188cmとサイズのあるFWで、後方からのロングボールが効果的だった。
対するクロアチアは攻撃面で苦労する前半に。中盤にはルカ・モドリッチ、マテオ・コバチッチ、マルセロ・ブロゾビッチの3人がおり、配球力は十分だが、FW陣は前線で時間を作ることができない。モロッコの激しいディフェンスに苦戦しており、攻撃の勢いではモロッコに分があった。それでも前半最大のビッグチャンスを作ったのはクロアチアだ。敵陣深い位置でボールカットに成功すると、素早い攻めでボルナ・ソサが左サイドからクロスを供給。ニコラ・ブラシッチが走り込み合わせたが、モロッコの守護神ヤシン・ブヌが大きな体を広げてシュートブロックに成功。流れを渡さない。
強く速く上手いハキミがクロアチアゴールに襲い掛かる
後半に入っても膠着状態は続く。するとモロッコにアクシデント発生。左サイドバックで先発したヌサイル・マズラウィがピッチに座り込み、プレイが一時中断。その後再開されマズラウィもピッチに戻ったが、結局プレイを続行することができず、貴重な戦力を欠くことに。
後半両チームともにセットプレイからの攻撃に迫力があった。モロッコはツィエクだけでなくハキミも強烈なシュートを放つことができ、少し遠い位置からハキミのミドルシュートがクロアチアゴールに襲い掛かる。
キッカーの質であればクロアチアも負けておらず、モドリッチが71分に右サイドからGKとDFの間にクロスを供給。今日ビッグセーブを披露したブヌは飛び出すことができなかった。エン・ネシリが難しい体勢からクリアに成功しピンチを脱している。
後半も半ばに突入すると、互いが勝ち点を意識した戦いにシフトチェンジする。得点は狙うがそれほどリスクは取らず、そのまま0-0でタイムアップ。両者勝ち点を分け合う結果となった。
最悪の形は黒星スタートであり、それを避けられただけでも十分なのかもしれないが、前回準優勝国であるクロアチアは今後に不安が残る初戦となってしまった。後方、中盤にはタレントが揃っているが、前線の質は物足りない。ボールが収まらず、前半のビッグチャンスとセットプレイくらいしか好機はなかった。幸い後方が安定しており、グループステージは堅守を武器に突破することができそうだが、決勝トーナメント以降は難しい戦いとなるだろう。
[スコア]
モロッコ 0-0 クロアチア
[得点者]
なし
[ポゼッション]
モロッコ 30% クロアチア 53% 中立17%
[シュート数]
モロッコ 7本 クロアチア 7本
[枠内シュート]
モロッコ 2本 クロアチア 2本
[イエローカード]
モロッコ 1枚
ソフィアン・アムラバト
[ラインナップ]
モロッコ
フォーメーション : [4-3-3]
監督 : ワリド・レグラギ
GK
ヤシン・ブヌ(セビージャ/スペイン)
DF
アクラフ・ハキミ(パリ・サンジェルマン/フランス)
ヌサイル・マズラウィ(バイエルン・ミュンヘン/ドイツ)
ナイェフ・アゲルド(ウェストハム/イングランド)
ロマン・サイス(ベシクタシュ/トルコ)
MF
ソフィアン・アムラバト(フィオレンティーナ/イタリア)
アゼディン・ウナヒ(アンジェ/フランス)
セリム・アマラー(スタンダール・リエージュ/ベルギー)
FW
ハキム・ツィエク(チェルシー/イングランド)
ソフィアン・ブファル(アンジェ/フランス)
ユセフ・エン・ネシリ(セビージャ/スペイン)
交代出場
60分 ヌサイル・マズラウィ→ヤヒア・アティヤット・アッラー(ウィダード)
65分 ソフィアン・ブファル→アブデ・エザルズーリ(オサスナ/スぺイン)
81分 ユセフ・エン・ネシリ→アブデルラザク・ハムダラー(アル・イテハド/サウジアラビア)
81分 アゼディン・ウナヒ→アブデルハミド・サビリ(サンプドリア/イタリア)
クロアチア
フォーメーション : [4-3-3]
監督 : ズラトコ・ダリッチ
GK
ドミニク・リバコビッチ(ディナモ・ザグレブ)
DF
デヤン・ロブレン(ゼニト・サンクトペテルブルク/ロシア)
ボルナ・ソサ(シュツットガルト/ドイツ)
ヨシュコ・グバルディオル(ライプツィヒ/ドイツ)
ヨシプ・ユラノビッチ(セルティック/スコットランド)
MF
マテオ・コバチッチ(チェルシー/イングランド)
ルカ・モドリッチ(レアル・マドリード/スペイン)
マルセロ・ブロゾビッチ(インテル/イタリア)
FW
イヴァン・ペリシッチ(トッテナム/イングランド)
アンドレイ・クラマリッチ(ホッフェンハイム/ドイツ)
ニコラ・ブラシッチ(トリノ/イタリア)
交代出場
46分 ニコラ・ブラシッチ→マリオ・パシャリッチ(アタランタ/イタリア)
71分 アンドレイ・クラマリッチ→マルコ・リバヤ(ハイドゥク・スプリト)
79分 マテオ・コバチッチ→ロブロ・マイェル(スタッド・レンヌ/フランス)
90分 イヴァン・ペリシッチ→ミスラフ・オルシッチ(ディナモ・ザグレブ)