カタールW杯における森保ジャパンには、あるスローガンがあるという。日本代表がドイツ代表を2−1で撃破した11月23日のグループリーグ第1節の試合後、長友佑都が明かした。
 
「コラージョ!コラージョ!」
 
 ミックスゾーン(取材エリア)で長友は、吉田麻也らとそんな言葉で喜びを分かち合っていた。
 
 この「コラージョ」とは「勇敢、勇気、度胸」などの意味を持つイタリア語。セリエAで長く活躍した長友が仲間を鼓舞するために使い、それがチームに浸透。いつしかスローガンのようになったという。
 
「今日の試合前にもコラージョ!って掛け声をしたんですよ」
 
 そう振り返った長友は、今大会に向けた合宿の初日からずっと、誰よりも大きな声を張り上げてチームに活力を入れていた。このベテランが入っているロンド(ボール回し)は、いつだって大盛り上がりだった。
 
 そして「ついにワールドカップだよ!」、「一緒に盛り上げていきましょう!」、「勝つよ!勝つよ!」と、時には報道陣まで鼓舞してくれていた。
 
 長くインテルなど欧州のクラブで活躍し、このドイツ戦で成し遂げたW杯12試合出場は日本歴代最多レコード。酸いも甘いも噛み分けてきたベテランは、チームが勝ち抜くには戦術や技術の前に、メンタルがまず重要だと誰よりも分かっていた。
 
「チームメイトにはここまで来たらまずは気持ちが大事だと言いました。喩えでサムライの話もして。いくらすごい武器を作り、鍛錬して磨いてきても、目の前の相手にビビったらその全てが無駄になる。それはサッカーも同じで、チームで戦術も詰めてきたし、技術もそれぞれが磨いてきたけど、目の前の相手にビビってたら絶対に戦術も技術も生きない。だから絶対にまずは目の前の敵を倒す、潰すって考えることが大事だと、みんなの前で話させてもらいました」
 
 長友のそうした気持ちが「コラージョ」という言葉に乗り、チームへと波及し、そして歴史的なドイツ戦の勝利に繋がった。続く11月27日のコスタリカ戦でも、このスローガンはチームを支える柱となりそうだ。
 
取材・文●白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)

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