森保ジャパンは、現地時間12月1日(木)22時、日本時間12月2日(金)早朝4時に決勝トーナメント進出を懸けた、グループリーグ第3戦のスペイン戦を迎える。

 日本が所属するグループEは、勝点4のスペインが首位、勝点3の日本が2位、同3のコスタリカが得失点差で3位、勝点1でドイツが4位となっている。とはいえ、最終戦ではドイツとコスタリカが対戦し、勝点を伸ばすだけに、日本としては勝利を目指す必要がある状況だ。

 スペインは第2戦のドイツ戦でも見せたように、圧倒的なポゼッション力で主導権を握りにかかる。日本戦で高い支配率を誇ったドイツでさえ、ボールを奪い返すことに苦しんだように、即時奪還へ切り替えは非常に速く、インテンシティも高い。日本としてはまずボールを持たれることを前提に、ゲームプランを組むことになる。

 昨夏の東京五輪でスペインと対戦した経験のある相馬勇紀は「五輪とは人が違うとはいえ、同じ形の相手として、アンカーのところ“6番の選手”をいかに消せるかが大切です。あそこを簡単に蹴らせると、行っても行っても取れないので、そこへのハメ方はすごく大事になる。今のチームでもみんな気にしているところで、共通して意識しています」と話す。

 スペインは2試合続けて先発し、イエローカードを1枚受けているキャプテンのブスケッツに変え、ロドリやコケをアンカーで起用するとの噂。とはいえ、基本戦術は不変で、インサイドのペドリ、ガビ、C・ソレールらを含めた中盤のトライアングルがパス回しの中心となり、両サイドのフェラン、ダニ・オルモや、両SBとも柔軟に絡んで崩しにかかる。

 ただし、こちらも2試合連続で先発しているアセンシオはCFながら中盤に頻繁に落ちる厄介な存在であったが、彼を日本戦でベンチに置き、スーパーサブとして結果を残しているモラタをスタメンに入れてきた場合は、少しはマークしやすくなるのかもしれない。
 
 一方、日本では試合2日前となった11月29日のトレーニングに、右膝痛の遠藤航、左太もも痛の酒井宏樹が別メニュー調整で不在。スペイン戦に出場できるかは不透明な情勢だ。ただ、冨安健洋は公開された冒頭15分ではチームメイトと同じ練習をこなし、復帰の目途が立ったようにも映る。

 森保ジャパンの基本システムは4-2-3-1。もっともミラーゲームに持ち込む4-3-3、今大会、有効なオプションとして活用している3-4-2-1をスタートから採用する可能性も十分にあるだろう。

 現に守田は29日の練習後の取材で「どこで奪うかなど具体的なことは今は言えず、システムを含めて話し合っているところです」と口にしている。

 もっとも守田は「ハッキリしていて、スペインは4-3-3でくるでしょうし、自信があるからこそ綺麗なパスが多いのかなと。そこはある意味、距離を保てば、引っかけられるチャンスかなと感じます」と続け、こうも語った。

「万が一、4-2-3-1でスタートしても、そうなる(東京五輪などで敗れた過去のスペイン戦のようになる)とは思わないですし、システムを含めて、守備の部分でボールを持たれることは確実に想定しているので、その時に今ままで以上に高さやどこで奪うかを明確にしなくちゃいけません。本当、我慢を強いられる戦いになると思うので、先制されないこと。それがすべてだと感じます。粘り強い守備から奪ったあと、ドイツ戦のようにシュートを打てないかもしれないですが、戦い方はそんな感じだと思います。システムは本当に分からないです」
 
 また攻撃面に関して相馬は「相手がビルドアップする時にCBが開いて真ん中のスペースが、がっぽり空くこともある。そこをショートカウンターで」とイメージを説明。

 田中碧は「理想はカウンターで刺す。それが一番有効だと思います。ただスペインの一番の特長はトランジション。回収して相手の陣形が崩れたところで刺す形を一番得意としているはずなので、奪ったボールをつなぐというのはそうですが、あれだけハイラインを敷いている以上、裏にボールを落とすだけでも(日本には)速い選手がいるので、チャンスになるかなと思います。そこは頭に入れておき、つなごうとして取られた時のストレスを考えれば、ある程度、割り切って裏にボールを落とすだけでも脅威になるかなと思います。そういう策は持っておきたいです」とも話す。
 
 理想は粘り強く試合を推移させ、スペインが焦れきたところを刺す。ドイツ戦のように最少失点で終盤を迎えられればチャンスはあるかもしれない。ドイツ戦に続く金星をチーム一丸となって掴みたい。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト特派)