カタール・ワールドカップのグループステージ初戦で、日本は優勝候補のドイツに2-1で勝利したが、続くコスタリカ戦は0-1の敗戦。決勝トーナメント進出がかかるスペインとの大一番に、森保ジャパンはどんなスタメンで臨むべきか。現地取材するフリーライターの元川悦子氏に見解をうかがった。

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 日本が22%しかボールを支配できなかったドイツに対し、6割以上ボールを持ち、圧倒したスペイン。世界一の技術とパスワークを誇る彼らが相手だと、どういう布陣を取っても押し込まれてしまうのは間違いないだろう。

 5バックにして超守備的に戦う策もあるが、やはり一人ひとりにマークをつけないと、中もサイドも決定的な仕事をされてしまう。となれば、スペインの4-3-3に対応できる4-2-3-1が賢明な選択のように思えてくる。

 まず最終ラインから考えると、右SBの酒井宏樹が2日前でも別メニューという状況を考えれば、長友佑都というチョイスになると思われたが、29日の練習で冨安健洋が復帰。右SBで起用する目途が立った。

 敵の左サイド、ダニ・オルモとジョルディ・アルバの縦関係を止めるには、国際経験豊富なDFが必要不可欠。そこに板倉滉、吉田麻也、長友佑都が並べば、ある程度は計算できる。マルコ・アセンシオ、フェラン・トーレスの一発を警戒していれば、そこまですぐに失点ということはないはずだ。
 
 前線3枚への配球を止めるためにも、中盤のマークはかなり重要。セルヒオ・ブスケッツ、ガビが欠場するという一部報道もあるが、その場合でもロドリ、コケが中盤に陣取って、ペドリと高度な連係・連動を見せるはず。そこに日本の両ボランチとトップ下がタイトに行けば、相手も嫌がるに違いない。

 森保一監督は遠藤航を使いたいだろうが、やはり彼も酒井同様、2日前の29日に室内トレーニングをしている状態。右膝に不安を抱えていて、さすがに3戦連続スタメンでは出せないだろう。

 そういう時こそ、最終予選でチームを支えた守田英正と田中碧の出番。2人には両インサイドハーフを徹底的に封じ、攻めの起点となるパス出しが、求められるところだ。

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 そしてトップ下だが、今大会不調ながらも実績ナンバーワンの鎌田大地か、スペインを知り尽くす久保建英か、判断が分かれるところ。フレッシュさでは久保だが、走行距離とスプリント回数が日本トップであり、ここ一番の決定力もあるのはやはり鎌田。

 今の日本で最も得点の確率が高いのは背番号15だ。森保監督が彼と“心中”するつもりがあるのか否かが問われる。
 
 FWは、エメリック・ラポルトら守備陣へのハイプレスをかけられる前田大然か浅野拓磨のいずれかになるか。ウナイ・シモンも頑なにボールをつないでくるため、鬼プレスの前田にとっては狙い目。

「試合を見ていて、GKがプレスをかけられると結構、オドオドしているみたいな感じだったんで、そこはチャンスかなと思っています」と坊主頭の韋駄天は自信をのぞかせた。

 こういった面々がスタートから高い強度でスペインに襲いかかり、相手を凌駕する勢いと迫力で行ければ、相手にもミスが起こりがち。ハイラインの裏を執拗に狙うことで、ゴールへの道筋も見えてくる。そう信じて捨て身でぶつかるしかない。

取材・文●元川悦子(フリーライター)