イングランド対イランから2つのシーンを解説
スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「ワールドカップ(W杯)ジャッジリプレイ」で、カタールW杯のイングランド代表とイラン代表の試合が取り上げられた。
この試合の前半3分、イングランドが得たコーナーキックがゴール前に入ってきたところで、DFハリー・マグワイアが相手から抱えられるようにして、DFジョン・ストーンズは相手からユニフォームを掴まれて両者とも倒れたがPKの判定はなく、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)も介入しなかった。
特にマグワイアをレスリング選手のように抱え込んだDFルーズベー・チェシュミのプレーにはスタジオの出演者たちも満場一致でPKを取るべきという意見になった。元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏は、「この映像を見て、なぜVARがオンフィールドレビューを勧めなかったか分からない」としたうえで、「もしかするとイングランドの選手の手もDF側に絡んでいるように見えるので、どっちもどっちという見方もできなくはない」と、VARも介入しなかった現場の判定プロセスを推定した。
元国際審判員の深野悦子氏は、「レフェリーが見ていなければ(VARが)介入すべきものなので、介入しなかったのはレフェリーが『見ていた。両方とも手が出ているからノーファウル。ホールディングし合っているのは分かっている』と言ったから介入できなかったのではないか。もし、見ていないと言うなら介入しなければいけないポイント。そうでないVARはここにいるべきではない」と考察しつつコメント。「コミュニケーションが取れていて、主審がそう判断したなら仕方ないということではないか」と話した。
また、この試合の後半アディショナルタイムでは、イランのフリーキックの場面でゴール前へのボールをイングランドがクリアした後にVARが介入。イランのDFモルテザ・プーラリガンジをストーンズが引っ張っていたとしてイランにPKが与えられていた。
前半3分のシーンよりも接触の度合いが軽いように見える場面だったが、深野氏は「前の場面と比較すると、ボールは当該選手のところに行っているのが違い。レフェリーはファウルとしていないので、もしかしたらレフェリーは一貫していたかもしれない」と、VARの判断が違った可能性があると指摘した。
家本氏はシンプルに「理解できない」とコメント。「アタッカーはDFに挟まれて足が運べなかっただけ。腕や体の寄せはフットボールで認められるもので、単に競り負けただけ。小さな事象を探しにいってしまっていると思う」と話した。そして「最初の場面は(PKを)取って、こちらは介入しない方が良かった」と意見を述べていた。(FOOTBALL ZONE編集部)