11月後半に開幕した20222FIFAワールドカップカタール(カタールW杯)も折り返しを迎えた。熱戦が繰り広げられたグループステージだが「順当勝ち」という言葉が全く当てはまらない試合が多く、5大陸のフットボールのレベルが急激に上昇していることを覚えた。
日本時間12月3日24:00から始まった決勝トーナメントも、最後まで手に汗握る展開になることは間違いないだろう。そうした拮抗したカタールW杯グループステージの戦いで評価を爆上げした選手を3名紹介したい。
ジュード・ベリンガム(イングランド代表)
プレミアリーグ連合軍で構成されているイングランド代表(グループB)だが、その中でも異彩を放っているのはMFジュード・ベリンガム(ボルシア・ドルトムント)ではないだろうか。中盤として求められるボールコントロールや守備時のボール奪取、攻守における臨機応変さがすべて高い水準で備わったプレーヤーである。
イングランドの初戦となったイランとの試合(11月21日)では、ベリンガムのヘディングから先制ゴールが生まれ、イングランドが勢いに乗るきっかけを作った(試合は6-2)。何より1番の驚きは、彼がまだ19歳ということだ。17歳にしてバーミンガム・シティからドルトムントへ渡りメキメキと成長を遂げているベリンガムは、今後エースであるFWハリー・ケイン(トッテナム・ホットスパー)に代わりイングランドを率いるリーダーとなる可能性が高いと考える。
コーディ・ガクポ(オランダ代表)
オランダ代表(グループA)のFWコーディ・ガクポ(23歳)。所属するPSVアイントホーフェンの左ウイングとして、FCフォレンダム相手にハットトリックを決めて世界を驚かせ、コンスタントにアシストを量産してヨーロッパリーグでも十分実力を証明してきたが、もちろん国際舞台でも通用することがはっきりと判明した。
2022/23シーズンPSVで既に公式戦13ゴール17アシストを記録しているガクポは、今W杯グループステージで出場した3試合すべてでゴールを決めて決定力の強さを世界に知らしめた。またオランダ代表として2トップやトップ下でも持ち前を発揮して、前線どこででもプレーできることを印象つけ攻撃オプションも多彩である。すでにプレミアリーグのクラブからは熱烈なオファーが準備されている噂も流れており、この冬の移籍市場において注目銘柄になることが確実とされている。
三笘薫(日本代表)
Jリーグでは向かうところ敵なし。現在イングランドのブライトン・アンド・ホーブ・アルビオンでプレーするMF三笘薫も、日本代表(グループE)としてこのグループステージで大きな活躍を見せた選手の1人である。
日本が劇的な逆転勝利を収めたドイツ戦(11月23日)スペイン戦(12月2日)では、三笘が交代出場した後に逆転に成功(共に2-1で勝利)。いずれもゴールの起点になるプレーには三笘が存在しており、今カタール大会日本代表の不気味さをは彼が体現していると言えよう。得意としているドリブルは速さで抜き切るだけでなく、微妙にテンポをズラして守備陣を切り裂くことも可能にし、対面に立たされるサイドバックたちからは厄介者として扱われている。
ただ、最も評価しなければならないのは守備における三笘の集中力だ。ドリブラーとしての魅力は前線で相手を翻弄することにあり自然と守備を蔑ろにするケースが多いが、三笘は組織として守らなければならない時間も我慢強く守備に徹し攻撃の芽を潰す役割として機能している。目に見えないところでの頑張りが、日本代表のグループステージ突破につながったと言えるだろう。