サッカー日本代表は現地5日、カタールワールドカップの決勝トーナメント1回戦でクロアチア代表と対戦する。

 クロアチア代表と聞いてまず思い浮かべるのは、おそらくMFルカ・モドリッチだろう。彼こそが10番を背負い、キャプテンとして“ヴァトレニ”を引っ張るチームの絶対的な心臓だ。37歳になってもパフォーマンスが衰える気配はなく、ピッチ上で圧倒的な存在感を放つ。

 クラブレベルでの実績は言わずもがな。レアル・マドリードで国内リーグ優勝3回、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)優勝5回など数え切れないほどのタイトルを獲得し、2017年夏からはマドリーでも10番を背負っている。

 2018年にはクラブでのCL3連覇や、クロアチア代表のロシアワールドカップ決勝進出に貢献したことが評価され、FIFA年間最優秀選手賞とバロンドールを受賞。その年の世界No.1プレーヤーを表彰する2大個人タイトルを手中に収めた。

 クロアチア代表デビューを飾ったのは2006年3月で、直後のドイツワールドカップではグループステージ第2戦の日本代表戦と第3戦のオーストラリア代表戦に途中出場した。以降はワールドカップとEUROに4度ずつ出場するなど、常にクロアチア代表の中心として大舞台に立ってきた。

 モドリッチは線が細くひ弱に見られがちだが、小さな体に無尽蔵のスタミナを蓄え、テクニックとハードワークを両立したプレースタイルで知られる。優れた戦術眼で流れを読み、的確に味方を動かして試合を組み立てていくピッチ上の監督としての才覚も世界屈指だ。

 両足から繰り出す正確なパスで攻撃を組み立て、必要とあらば前線からのハイプレスもいとわない。セットプレー時には狙ったところをピンポイントで射抜くキックで、常に対戦相手にとっての脅威となる。A代表通算158試合出場は、もちろんクロアチア史上最多の数字となっている。

 日本代表選手たちもモドリッチに対する憧れや警戒は強いようだ。GK権田修一が「チームの中にいてもらわないと困る選手」だと表せば、FW前田大然は「モドリッチのところが一番のキーになる」と気を引き締める。MF相馬勇紀も「モドリッチがいろいろなところに動いてきて、いろいろなところで数的優位を作ってきて、簡単に(プレッシャーに)ハマる相手じゃない」と、クロアチア代表の10番に対して特別な警戒心を抱いていた。

 特にセントラルMFには、「長いことボランチで一番いい選手だなと感じていて、誰もが認める存在。ゴールも取れるし、得点に絡めて、かつゲームも作れる。本当に理想なんじゃないか」と語るMF守田英正のように強い憧れを抱いている選手が多かった。

 MF田中碧は「どのエリアでもプレーできる選手の象徴。動けるボランチで、得点も取れる世界的に見てもトップクラスの選手。タイプ的に僕も広範囲に動くボランチなので、彼のプレーを見ますし、他の選手とは一味違う」だと語った。

 また、MF鎌田大地は「ああいう何でもトップ・オブ・トップでできる選手を目指さないとダメだと思う。僕にとって彼は常にいい参考になる選手だし、すごくリスペクトしています」と、田中や守田とは別の角度からモドリッチの存在を強く意識しているようだった。

 世界中のサッカーファンから愛されるクロアチア代表の10番は、自身16年ぶりの日本代表戦でどんなパフォーマンスを見せてくれるだろうか。モドリッチを封じられなければ、森保ジャパンにとっては非常に難しい試合展開になってしまう。

(取材・文:舩木渉)

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