サッカー日本代表が日本時間12月6日、ワールドカップ決勝トーナメント1回戦でクロアチア代表と対戦し、PK戦までもつれ込む激戦の末に、PK戦で1-3で惜敗した。試合の興奮が冷めやらぬ中、『ABEMA Morning』には元日本代表MFの石川直宏氏が出演。惜敗したクロアチア戦を振り返り、「力を出し切った試合だった」と総括した。

【映像】日本代表の大激戦を振り返る石川氏

 大会前から目標に掲げてきた、ベスト8進出の夢。その壁はまたしても高く、厚く、日本代表を阻んだ。激闘の余韻が残る中、石川氏は「力を出し切った試合だった。試合の中での駆け引き、引き出しの多さなど、この大会は多くの可能性と結果を見ることが出来た。結果は残念だったが、日本代表は非常に成長した姿を見せてくれたと思う」と選手たちを労った。

 試合は43分、日本は右サイドでのパス交換から、ボックス外の堂安律が速いボールのクロスを上げると、ファーの吉田麻也が足を伸ばして折り返したところで前田大然が反応。左足を振り抜き、貴重な先制点を挙げ前半を1点リードで折り返した。

 石川氏は、「今回は5-2-3のような形。5枚というと少し守備的な形なので、0-0もしくは0-1で前半を終えると思っていた。でもいざ試合に入ってみると、積極的に高い位置から守備にも行くし、相手が引けば自分たちでボールを回すという、日本の主導で試合を動かすことが出来たのではないかなと思う」と嬉しい誤算があったという。

 しかし後半開始早々、日本は55分に中央右でボールを持ったデヤン・ロブレンからペナルティエリア内にクロスが送られると、精度の高いボールを中央のイバン・ペリシッチがピンポイントで合わせ、ゴール右隅へ。冨安健洋と伊東純也の対応が間に合わず、ペリシッチに同点ヘッドを許してしまった。これには石川氏も「クロアチアさすが、という得点シーン」と脱帽せざるを得なかった。

 ノックアウト方式の延長戦に入っても決着はつかず、命運はPK戦に委ねられた。南野拓実、三笘薫のキックは相手GKに完璧に読み切られ失敗。浅野拓磨が決めたものの、4人目の吉田麻也のシュートも止められてしまい、クロアチアの4人目、マリオ・パシャリッチが左に決めて勝負あり。日本は3人のシュートが止められ、PKスコア1-3で敗戦を喫した。

 「PKは蹴る位置が11メートル。これだけの技術を持って経験を積んでいる選手がコースを狙いきれなかったり、ポストに当てたり枠を外すことは普通はありえない。それだけのプレッシャー。自分と向き合うこと、その瞬間の空気と向き合うのは積み上げてきたものがあったからこその重みと責任。ただ、PKを蹴らないと外すこともできないと覚悟を持って臨んだ。負けてしまったことは悔しいが、最後まで出し切った選手たちの姿があったと思う」と最大級の賛辞を送っていた。

 試合のMVPを問われた石川氏は遠藤選手をピックアップ。「守備だけでなく、攻撃の起点として前を見てプレーすることができる。一人二役三役を120分続けることができる。タフさと状況判断とリーダーシップと、そういったものを兼ね備えている選手」とした。

 石川氏はグループステージからの全4戦を振り返り、日本代表の「リバウンドメンタリティーの強さと、最後まであきらめない姿勢」にフォーカス。「上手く行かなかった時に何が必要か、そこから短い時間で浮上していくというメンタルの強さが見られた。さらに、スペイン戦で三笘選手がギリギリのところで足を延ばしたことで田中選手のゴールに繋がったこともあった。サッカーの本質は球際、切り替え、ハードワーク、そして最後まであきらめない気持ち。そういったひとつひとつのプレーが重なるからこそゴールが生まれる。積み上げてきたもので得た自信を随所で感じた」と成長を喜んだ。

 視線は4年後へ。「切り替えるのは難しいと思うが、もう始まっている」と石川氏の瞳から輝きは消えない。「世界基準で戦える選手たちが増えてきて、個々の選手たちの引き出しや幅は間違いなく広がっている。チームとして引き出しがある中で、この場面では何をチョイスするか。その選択をするのがチームであり組織。それぞれの価値観や世界基準の中で『この状況の時にはこういうプレーをしよう』というものを、チームとして作っていく。そのための今後の4年間になると思う」と語った。
(『ABEMA Morning』より)