【専門家の目|金田喜稔】谷口を高評価「Jリーガーでもやれることを示した好例」
森保一監督率いる日本代表は、現地時間12月5日のカタール・ワールドカップ(W杯)決勝トーナメント1回戦でクロアチア代表と対戦。1-1の同点で延長戦を終え、PK戦の末に1-3と敗れた。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏が、この試合に出場した16選手を5段階(5つ星が最高、1つ星が最低)で採点した。
◇ ◇ ◇
<GK>
■権田修一(清水エスパルス)=★★★★☆(4つ星)
冨安がボールを奪われたところからピンチを迎えたなかビッグセーブは圧巻。モドリッチの強烈なドライブシュートを防ぐなど好守が光った。全体としては十分な出来。PK戦での敗戦は致し方ない。
<DF>
■谷口彰悟(川崎フロンターレ)=★★★★☆(4つ星)
Jリーガーでも世界の舞台で互角にやれることを示した好例。臆することなくワールドクラスの相手とやり合っていた点を高く評価したい。終始、安定したパフォーマンスを見せ、パス回しもJリーグでの試合と同様に冷静だった。
■吉田麻也(シャルケ)=★★★☆☆(3つ星)
1試合を通じて何度もボールをはじき返し、最終ラインを上手く統率していた。失点場面も完全に崩されたわけではなく、吉田自身の守備は光った。一方、攻撃面のフィードやパス出し、ボールの持ち上がりなどはもう少し工夫が欲しかった。
■冨安健洋(アーセナル)=★★★☆☆(3つ星)
1対1の対応はさすがの安定感。ただ相手に押されたとはいえ前半に危ない場面を作られた。またマークが曖昧になってしまう場面もあり、クロスに対して寄せが甘くなった。気迫がみなぎっていたが、攻撃面ではややコンビネーション不足を露呈した。
攻守両面で利いていた遠藤、堂安の「キープ力は突出」と高評価
<MF>
■守田英正(スポルティング)=★★★☆☆(3つ星)
→延長後半0分OUT
簡単にボールをロストするシーンもあり、やや安定感に欠けた。時間が経つにつれて慣れてきたのか徐々に安定したが、それでも良さを十分に発揮し切れたとは言い難い。攻撃にアクセントを加えたかったが、そこが最後まで今ひとつだった。
■遠藤 航(シュツットガルト)=★★★★☆(4つ星)
素晴らしいパフォーマンスだった。大事なところでボールを奪う力が際立った。ボールを散らしつつ、簡単にボールロストもしない。隙があれば敵陣でも持ち上がるなど、攻守両面で利いていた。
■長友佑都(FC東京)=★★★☆☆(3つ星)
→後半19分OUT
可もなく不可もなくだが、自身の役割をしっかり全うした。三笘につなぐリレーを今大会は課せられ、守備で身体を張りつつ能力を発揮。欲を言えば、鎌田とのコンビネーションなどで崩す場面がもっとほしかったが、いい守備に重点を置いていたので難しかったか。
■伊東純也(スタッド・ランス)=★★★★☆(4つ星)
右サイドでアップダウンを繰り返し、守備面でも身体を貼っていた。あれだけ突破してクロスを上げ、さらに守備でも100%を求めるのは酷だが、そのなかでよく奮闘していた。失点時は難しい対応を迫られたが、あそこで良さを発揮するタイプではないので致し方ない。
■鎌田大地(フランクフルト)=★★★☆☆(3つ星)
→後半30分OUT
素晴らしい切り返しからビッグチャンスを迎えたが枠外に外した。決めろとは言わないが、あの場面ではせめて枠内に飛ばしてほしかった。今大会では鎌田の良さが十分に出せなかったものの、あと一歩でゴールというあのチャンスを見ると最後まで残して置いたほうが怖かったのではないかと感じた。
■堂安 律(フライブルク)=★★★★☆(4つ星)
→後半42分OUT
攻守において気迫みなぎるプレーを披露していた。キープ力は突出しているし、このレベルでも簡単にボールを失わない強さがある。タメを作れるなか、できればコンビネーションでもっと崩す場面を作りたかったが、いれば何かする雰囲気が漂っていた。できれば交代してほしくなかった。
<FW>
■前田大然(セルティック)=★★★★☆(4つ星)
→後半19分OUT
ボールが収まらないのは依然として同じだが、相変わらずのスプリント力で奮闘していた。前線からのプレッシングを交代するまで遂行し、しっかり点を決めた点は評価に値する。前線で汗をかいた選手がゴールを決めたなかで一気に盛り上がった。勝利のシナリオができていたはずだったが…。
南野は「雰囲気にのまれていた」 分析されていた三笘は見せ場を作ったが…
<途中出場>
■三笘 薫(ブライトン)=★★★☆☆(3つ星)
←後半19分IN
相手に完全に分析されていた感がある。あれだけ活躍していればマークされるのも当然。相手の三笘対策を上回るサポートをチームとしてできなかったのが痛かった。そのなかでもドリブル突破などで見せ場は作り、脅威を与えていたが、決定的な仕事はできなかった。
■浅野拓磨(ボーフム)=★★★☆☆(3つ星)
←後半19分IN
20歳のDFグヴァルディオルに苦戦を強いられていた。スピードでも互角で、球際でも強く、浅野の良さを出し切れずに終わった印象。ボールキープもままならず、相手ゴールまで迫り切れなかった。
■酒井宏樹(浦和)=★★★☆☆(3つ星)
←後半30分IN
守備重視でプレーするなか、球際での強さや粘り強い対応が光った。ただ、攻撃面での上積みに乏しく、活性化をするまでには至らず。怪我明けの影響もあったのか、ダイナミックなプレーは見られず。
■南野拓実(ASモナコ)=★★★☆☆(3つ星)
←後半42分IN
献身的な守備は見せたものの、攻撃面で何かできたかと言えば何もできず、不完全燃焼に終わった。相手からすれば、そこまで怖さが感じなかったように思う。PK戦、1人目で失敗したのは、その後の流れを考えると影響が大きかった。雰囲気にのまれていた。
■田中 碧(デュッセルドルフ)=※採点なし
←延長後半0分IN
難しい状況のなかで投入され、ガラッとゲームを変えることはできなった。今大会乗っている選手の1人であり期待感はあったが、あの緊迫した展開だとリスクを冒すのは難しいか。(金田喜稔 / Nobutoshi Kaneda)