堅守のスイスをポルトガルが打ち破った
MATCH 56 決勝トーナメント一回戦 2022年12月6日 22:00キックオフ(会場:アルダーエン・ルサイルスタジアム)
ポルトガル 6-1 スイス
FIFAワールドカップ・カタール大会決勝トーナメント1回戦最終戦となったこのカードは、ポルトガルが勝負強さを見せつけた。
まず優位に立ったのはスイスだ。序盤は互いに相手のビルドアップにプレッシングを行う展開となり、スイスがポルトガルの組み立てに制限をかける。ポルトガルはそんなスイスの策略に苦戦。ロングボールを前線に蹴るしかない。
スイスがボールを持つ場面では、ポルトガルが逆の立場になって相手のビルドアップにプレッシャーを与える。しかしこれが上手くハマらない。スイスの守護神ゾマーを中心にポルトガルのプレスを剥がしボールを進める。
序盤の攻防はスイスが制したが、リードを得たのはポルトガルだった。17分、左サイドからのスローインを受けたフェリックスがボックス内に進入し、最後はラモスが左足を豪快に振り抜く。形勢逆転の一撃が決まり、ポルトガルが早い時間に先制する。この試合はポルトガルの大エースであるロナウドはベンチスタートであり、代役を任されたラモスが結果を出した。
スイスもすかさず反撃。29分、ペナルティエリア手前の中央でFKを得ると、キッカーはレフティのシャキリ。左足から放たれた強烈なシュートは枠を捉えたかと思われたが、ポルトガルの守護神コスタがそれを許さない。
スイスの猛攻を受けてもポルトガルは揺るがず。33分右サイドのコーナーキックからペペが豪快なヘディングシュートを沈め、前半半ばで2-0と試合を決めにかかる。
スイスのプレスは機能しており、つなごうとするとポルトガル側にミスが出るのだが、フェリックスがそれを一人で解決してしまう。スタートポジションは左ウイングだが、ビルドアップ時は最終ライン付近まで下がり、そこから推進力のあるドリブルで無理やりボールを運ぶ。前からのプレスでポルトガルの攻撃を防いでいたスイスだが、このドリブルは止められず結果2失点につながってしまった。
ロナウドをベンチに控えさせるほどの選手層の厚さ
後半はポルトガルが試合を支配する。51分、ラモスがこの日2ゴール目を挙げると、4分後にはダメ押しとなる4点目を決める。その後アカンジがセットプレイから1点を返すが、点差は大きく開き後半は一方的な展開になってしまった。
ポルトガルは前線の選手が冴えており、67分、ラモスが3点目を決めて5-1に。今大会初となるハットトリックを達成して一気に得点ランク2位タイにまで上り詰めた。現状5ゴールのムバッペがトップであり、ラモスが今後追い付く可能性は十分にある。
ポルトガルは後半ロナウド、レオンら実力者をピッチに送り出し、最終的に6-1でスイスを撃破してラウンド8進出を決めた。近年はグループステージ敗退やベスト16で大会を去ることが多かったが、ポルトガルが8強入りするのは2006年のドイツ大会以来となる。
ポルトガルはスイス戦で強さを見せた。序盤危ういシーンもあったが、タレントの質で解決しており、その後は勢いでスイスを退けた。フェリックスのボールを運ぶ能力は頭一つ抜けており、ラモスというニューヒーローも現れた。ベンチにはロナウドやレオンとタレントが座っており、失速する心配もない。ラウンド8ではモロッコとの対戦が決まっている。
悪くないスタートを見せたスイスだが、ポルトガルの勢いに飲まれてしまった。後半攻撃的なカードを切って同点を目指したタイミングでの2失点が大きく響いた印象だ。今大会は比較的守備が安定していただけに、この6失点をバネにさらなる成長を目指したい。
[スコア]
ポルトガル 6-1 スイス
[得点者]
ポルトガル
17分 ゴンサロ・ラモス
33分 ペペ
51分 ゴンサロ・ラモス
55分 ラファエル・ゲレイロ
67分 ゴンサロ・ラモス
90+2分 ラファエル・レオン
スイス
58分 マヌエル・アカンジ
[ポゼッション]
ポルトガル42% スイス47% 中立 11%
[シュート数]
ポルトガル14 スイス10
[枠内シュート]
ポルトガル 9 スイス 3
[イエローカード]
スイス2枚
ファビアン・シェア
エライ・キュマルト
[レッドカード]
なし
[ラインナップ]
ポルトガル
フォーメーション : [4-3-3]
監督 : フェルナンド・サントス
GK
ディオゴ・コスタ(ポルト)
DF
ディオゴ・ダロト(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)
ペペ(ポルト)
ルベン・ディアス(マンチェスター・シティ/イングランド)
ラファエル・ゲレイロ(ボルシア・ドルトムント/ドイツ)
MF
ベルナルド・シウバ(マンチェスター・シティ/イングランド)
ウィリアム・カルヴァーリョ(レアル・ベティス/スペイン)
オタビオ(ポルト)
FW
ブルーノ・フェルナンデス(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)
ジョアン・フェリックス(アトレティコ・マドリード/スペイン)
ゴンサロ・ラモス(ベンフィカ)
交代出場
74分 ゴンサロ・ラモス→リカルド・オルタ(ブラガ)
74分 オタビオ→ヴィティーニャ(パリ・サンジェルマン/フランス)
74分 ジョアン・フェリックス→クリスティアーノ・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)
81分 ベルナルド・シウバ→ルベン・ネベス(ウォルバーハンプトン/イングランド)
87分 ブルーノ・フェルナンデス→ラファエル・レオン(ミラン/イタリア)
スイス
フォーメーション : [3-5-2]
監督 : ムラト・ヤキン
GK
ヤン・ゾマー(ボルシアMG/ドイツ)
DF
マヌエル・アカンジ(マンチェスター・シティ/イングランド)
リカルド・ロドリゲス(トリノ/イタリア)
ファビアン・シェア(ニューカッスル/イングランド)
MF
エジミウソン・フェルナンデス(マインツ/ドイツ)
レモ・フロイラー(ノッティンガム・フォレスト/イングランド)
グラニト・ジャカ(アーセナル/イングランド)
ジブリル・ソウ(フランクフルト/ドイツ)
ルベン・バルガス(アウクスブルク/ドイツ)
FW
ブレール・エンボロ(モナコ/フランス)
ジェルダン・シャキリ(シカゴ・ファイアー/アメリカ)
交代出場
46分 ファビアン・シェア→エライ・キュルマト(バレンシア/スペイン)
54分 レモ・フロイラー→デニス・ザカリア(チェルシー/イングランド)
54分 ジブリル・ソウ→ハリス・セフェロビッチ(ガラタサライ/トルコ)
66分 ルベン・バルガス→ノア・オカフォー(レッドブル・ザルツブルク/オーストリア)
89分 ブレール・エンボロ→アルドン・ヤシャリ(ルツェルン)