カタール・ワールドカップの序盤、サウジアラビアがアルゼンチンを下し、日本がドイツに勝利すると、世界で「サプライズの大会」と騒がれた。グループステージを終え、日本と韓国、オーストラリアの3チームが決勝トーナメントに進出すると、アジア勢の台頭と賛辞が寄せられた。

 だが、躍進をもてはやされたアジア勢は、ラウンド16でいずれも姿を消した。韓国はブラジルに1-4と完敗。オーストラリアはアルゼンチンに1-2と屈指、日本はクロアチアと1-1のタイスコアで120分を終えるも、PK戦の末に敗退している。

 これを受け、ケニア紙『THE STAR』は「なぜグループステージで衝撃を見られるのに、ラウンド16では見られないのか」と題した記事で、ベスト16の壁について報じた。

 同紙はまず、そもそもグループステージでの「サプライズ」の一部は「サプライズ」ではないと指摘。準々決勝進出を決めたモロッコを例に挙げ、「日本も同じだ。彼らは欧州のバックボーンがあり、これで16強進出は4回目だ。彼らが突破しても、本当にサプライズではないのだ」と伝えている。

 また、日本がPK戦で敗れたことについては、「優勝するチームの多くはスロースタートで、決勝トーナメントが続く中で、難局を乗り越えるための経験を生かして良くなっていく」との見解を示した。

「クロアチアは日本戦のPK戦でそれをした。決勝トーナメント直近8試合で7回の延長、ロシア大会で突破した2度のPK戦という経験が、PK戦でフリーズした日本を相手にクロアチアを有利にさせたことは確かだ」

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一方で、『STAR』紙は「アメリカのグレッグ・バーハルター監督は、オランダ戦で2つの『瞬間』が響いたと話したが、それが最も良い説明だろう」とも分析している。

「ビッグゲームになると、ビッグなチームは常に自分たちの『瞬間』を手にする。何もないところから訪れる、さらなる魔法の輝きが、試合を決めるのだ」

「イングランドやフランス、ブラジルのような国を相手に良いプレーをすることはできる。自分たちが支配していると思うことすら可能だ。だが、ビッグゲームになると、ハリー・ケインやネイマール、キリアン・エムバペのような選手たちに心を砕かれる。そしてなぜなのかと考えさせられるのだ」

最後に、同紙は「確かに、『瞬間』なのかもしれない」と締めくくった。

「だが、その『瞬間』をつくるのは、クオリティのある選手たちだ。本当に必要なときに違いをつくる選手たちである。そしてその必要なときというのが、決勝トーナメントなのだ」

8強進出には、卓越した個の存在が必要なのか。悲願成就を目指す日本の模索は続く。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部