オランダはアルゼンチン戦でトリックプレーから同点弾を決める

 カタール・ワールドカップ(W杯)の準々決勝でオランダ代表が90分終了間際に見せたトリックプレーが大きな反響を呼んでいる。元イングランド代表FWマイケル・オーウェン氏は「あのプレッシャーのなかで…信じられない」と脱帽している様子だった。

 オランダは前半35分にアルゼンチンに先制を許すと、後半28分にはFWリオネル・メッシにPKを決められて2点のビハインドを背負った。終盤に高さのある選手を次々に投入し、パワープレーを仕掛けると、後半38分にFWボウト・ベグホルストがヘディングでネットを揺らしてその差を縮めた。両軍ともに多くの選手が警告を受ける荒れ模様の展開となったなか、アディショナルタイム10分の表示で、ほぼラストプレーとなったタイミングでゴール正面、ペナルティーエリアのすぐ外でフリーキックのチャンスを得た。

 直接狙うことが想定される位置でアルゼンチンも壁に人数をかけ、FWリオネル・メッシはグラウンダーのボールを防ぐために壁の後ろに寝た。その状況でオランダはジャンプする壁のすぐ横にグラウンダーのパスを選択し、これを受けたベグホルストが蹴り込んで土壇場での同点ゴールになった。試合は2-2で延長戦へ突入した。

 この劇的ゴールの直後にオーウェン氏はツイッターを更新。「選手が壁の後ろに横たわり、8フィート(約2.4メートル)の高さまでジャンプする今、直接得点するのは不可能だ。私は何か月もちょっとした創造性を求めていた」と前置きしたうえで、「あのプレッシャーのなかであれをやるとは…信じられない」とオランダ代表が土壇場で見せた奇策を称賛した。

 1998年フランスW杯では似たような形でアルゼンチンがMFファン・セバスティアン・ベロンからMFハビエル・サネッティへのパスでイングランドを相手に得点を決めている。当事者であるオーウェン氏としては余計に思うところがあったのかもしれない。(FOOTBALL ZONE編集部)