【試合展望】モロッコ対ポルトガルは過去2回の対戦で1勝1敗

 カタール・ワールドカップ(W杯)は、いよいよ準々決勝がスタートする。ダークホースとなっているモロッコ代表は、初優勝を狙う欧州の強豪ポルトガルと対戦。また、自国開催の1966年以来となる優勝を目指すイングランド代表は、前回王者のフランス代表と対戦する。

■モロッコ(グループF・1位)×ポルトガル(グループH・1位)
準々決勝
キックオフ:現地時間12月10日18時(日本時間11日0時)
放送・配信:NHK、ABEMA
注目選手:ヤシン・ブヌ(モロッコ)、ゴンサロ・ラモス(ポルトガル)

 初のベスト8進出になったモロッコと、2006年ドイツW杯以来となるポルトガルによる準々決勝。W杯では過去に2回の対戦があり、近いところでは前回ロシアW杯のグループリーグで、FWクリスティアーノ・ロナウドのゴールでポルトガルが1-0の勝利を収めている。一方、1986年メキシコW杯のグループリーグでは最終戦で対戦し、3-1で勝利したモロッコがポルトガルを敗退に追い込んでいる。

 モロッコはグループリーグで前回準優勝で今大会もベスト4に進出しているクロアチア代表と、前回3位のベルギー代表を抑えて1位通過。決勝トーナメント1回戦では優勝候補スペイン代表をPK戦の末に撃破とアフリカ勢で唯一の8強入りして世界を驚かせている。組織的なプレーが目立つなか、鋭いカウンターも見せるチームだが、スペインとのPK戦で相手に1本も決めさせなかったGKヤシン・ブヌは再びPK戦となれば間違いなく注目の存在。ポルトガルの攻撃を受け止めつつ、逆襲の機会をうかがうだろう。

 ポルトガルは決勝トーナメント1回戦でスイスに6-1の完勝。ロナウドをスタメン落ちにする決断を下したチームは前後分断ではない攻守の一体感が生まれ、抜擢された21歳のFWゴンサロ・ラモスが今大会で第1号のハットトリックを達成。ここでスタメンを戻すとは考えづらく、遅れてきたラッキーボーイの勢いが続くかが注目ポイント。また、FWジョアン・フェリックスやFWラファエル・レオンといった選手たちが絡む攻撃の連動性も見ものだ。後は、ベンチに鎮座するスーパースターがどのような振る舞いをするかがチームに与える影響も見逃せない。

■イングランド(グループB・1位)×フランス(グループD・1位)
準々決勝
キックオフ:現地時間12月10日22時(日本時間11日4時)
放送・配信:ABEMA
注目選手:デクラン・ライス(イングランド)、キリアン・ムバッペ(フランス)

 欧州の強豪対決だが、意外にもW杯での対戦はレアケース。1966年にイングランドが自国開催で初優勝をした際に、グループリーグで対戦してイングランドが勝利。1982年スペインW杯でも1次リーグで対戦し、この時もイングランドが元祖“将軍”ことミシェル・プラティニを擁したフランスに勝利して通算2勝0敗の成績を残している。

 イングランドはグループリーグで9得点、決勝トーナメント1回戦でもセネガルから3得点で快勝と攻撃力を爆発させている。FWマーカス・ラッシュフォードとFWブカヨ・サカが3得点ずつ決めているほか、エースのFWハリー・ケインにもセネガル戦で今大会初ゴールが生まれるなど明るいニュースがある。今大会ではアンカーに入るMFデクラン・ライスからのビルドアップを研究されて対策をされているが、フランスの前線がそうした対応策に出てくるかどうか。彼を抑えつつセンターバックがプレスを受けると苦しむことになるかもしれない。

 前回優勝のフランスは、ターンオーバー起用したグループリーグ最終戦のチュニジア戦に0-1で敗れたほかは複数得点の勝利が3試合とこちらも攻撃力がある。一方で、その内訳は9得点のうちFWキリアン・ムバッペが5得点でFWオリビエ・ジルーが3得点というもの。誰がフィニッシャーになるかがハッキリしていながら、分かっていても止められないレベルの個の力を見せつけている。多くの選手が得点者に名を連ねるイングランドとは対照的な部分があり、そのどちらのチームが勝利を手にするか、試合の流れにも注目したいところだ。(FOOTBALL ZONE編集部)