フランスが先手を取り、後半終盤はイングランドに同点のチャンスが訪れるも…

 カタール・ワールドカップ(W杯)の準々決勝が現地時間12月10日に行われ、フランス代表が2-1でイングランド代表を下して準決勝へと進出した。

 世界的な強豪の両者だが、意外にもW杯での対戦は過去2回のみ。1966年にイングランドが自国開催で優勝した時と1982年スペインW杯のいずれもグループリーグで対戦し、イングランドが2勝していた。前回ロシアW杯の王者フランスと、昨年の欧州選手権(EURO)で準優勝したイングランドの対戦は今大会の中でもトップクラスの注目度を集めた。

 序盤から両チームとも相手のビルドアップでの隙を突き、ショートカウンターを仕掛けることでチャンスを得た。そのなかでフランスは前半17分、ゴール正面でMFアントワーヌ・グリーズマンからショートパスを受けたMFオーレリアン・チュアメニは、ほぼノーステップでの弾丸ミドル。これがゴール左に突き刺さり、フランスの先制ゴールになった。

 その後はフランスがイングランドにボールを持たせ、最終ラインから運ぶところでのミスに狙いをつけるような展開に。イングランドはFWハリー・ケインのミドルシュートなどゴールに迫る場面はあったものの、全体的には後方からボールを運ぶのに苦労する場面が目立ったまま前半はフランスの1点リードで終えた。

 後半の立ち上がりは両者が攻撃的な姿勢を見せたことで、ショートカウンターの応酬で試合がオープンになった。それによりスペースを得たイングランドの前線が躍動し、FWブカヨ・サカがペナルティーエリア内に切り込むとチュアメニが痛恨のファウル。このPKをイングランドはケインが蹴り込んで後半9分の同点ゴールに。これがイングランド代表通算53ゴールとなったケインは、ウェイン・ルーニー氏に並ぶ歴代最多タイ記録になった。

 後半半ばはイングランドがペースを掴み、後半25分にはセットプレーからDFハリー・マグワイアがヘディングで狙ったがわずかに枠外。1分後にはDFルーク・ショーが左から入れたクロスにファーサイドでサカが合わせたが、これも枠を捉えられなかった。決定機を立て続けに逃したイングランドに対してフランスは後半33分、左サイドからグリーズマンが入れたクロスにFWオリビエ・ジルーがヘディングで豪快に叩いて勝ち越しゴール。2-1とリードを奪った。

 それでも数分後にイングランドはゴール前に走り込んだ途中交代のMFメイソン・マウントが、ボールの落下点とは違う方向に走ってぶつかりにいったDFテオ・エルナンデスに倒されてビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の介入とオンフィールドレビューの末にPK判定。しかし、このPKをケインがクロスバーの上に外してしまい、このままフランスが1点差で逃げ切った。

 これでついに4強が出揃った。フランスは準決勝で、スペイン代表とポルトガル代表を連続撃破してアフリカ勢初のベスト4に進出したモロッコ代表と対戦する。その一方、アルゼンチン代表はベスト16で日本代表に勝利したクロアチア代表と激突する。(FOOTBALL ZONE編集部)