昨夏のコパ・アメリカでもPK戦で3本止めている

リオネル・メッシにとって悲願となるFIFAワールドカップ制覇まであと2つ。ベスト8のオランダ戦はPK戦までもつれる厳しいものとなったが、何とかベスト4まで駒を進めてきた。

攻撃面ではメッシの貢献が大きいが、この1年半のアルゼンチン代表を語るうえで欠かせないのが遅咲きの守護神エミリアーノ・マルティネスだ。

今やすっかり不動の正GKとなったマルティネスだが、ここまでの道のりは険しかった。2010年からアーセナルに所属していたものの、出番はほとんど無しだ。オックスフォード・ユナイテッド、シェフィールド・ウェンズデイ、ロザラム・ユナイテッド、ウォルバーハンプトン、レディングなどイングランドの下位リーグに所属していたクラブへのレンタル移籍を継続する日々で、マルティネスは無名に近いGKだった。

風向きが変わったのは2019-20シーズンだ。アーセナルの守護神だったベルント・レノが負傷離脱し、シーズン後半よりマルティネスがゴールを担当。FA杯では3回戦から決勝まで全試合にフル出場し、優勝を果たしてみせた。

これで評価が急上昇し、次のシーズンはアストン・ヴィラへ移籍してプレミアリーグ全38試合に出場。それが認められ、昨年6月にアルゼンチン代表デビューを果たすことになった。現在は30歳を迎えており、かなり遅咲きな方と言える。

そしてこのマルティネスこそアルゼンチン代表に不足していたピースだった。各ポジションに豪華な選手を抱えているものの、GKに関しては層が薄かった。マルティネスが守護神として定着したのは大きい。

昨夏にはそのマルティネスを守護神に据え、コパ・アメリカ2021を制覇。メッシが欲していた代表のビッグタイトルを手にすることができた。その時もベスト4のコロンビア戦はPK戦までもつれているが、マルティネスは3本もストップしてチームを勝利へ導いた。先日のカタール大会ベスト8のオランダ戦でもPKを2本止めており、PKの強さも想像以上だ。

マルティネスの登場でアルゼンチンが強化されたのは間違いなく、優勝へのピースは揃っている。