圧倒的な選手層と勝者のメンタリティ
ベスト8でイングランド代表を撃破したフランス代表にFIFAワールドカップ連覇への道が見えてきた。
ディディエ・デシャン率いるフランスの強さは不思議だ。ベスト8のイングランド戦も内容的にはイングランドが優勢だったかもしれないが、フランスは一瞬の隙を突いてFWアントワーヌ・グリーズマンのクロスからFWオリヴィエ・ジルーが決勝点をゲット。あの勝負強さこそフランスが強い理由なのだろう。
そもそも今大会のフランスは開幕前から不安材料が多かった。FWカリム・ベンゼマ、クリストファー・エンクンク、MFエンゴロ・カンテ、ポール・ポグバ、DFプレスネル・キンペンベが負傷離脱し、左サイドバックに入っていたリュカ・エルナンデスまで大会中に負傷してしまった。
それでもベスト4まで駒を進めてくるのは見事で、SNS上では「これだけ怪我人を出してイングランドに勝てるとは」、「ゴール前での決定力と効率の良さは注目に値する」、「フランスは十分に2つのチームを作れる」など底力を称える声が多く挙がっている。
中盤ではカンテとポグバの穴を埋めるオーレリアン・チュアメニの成長が大きく、イングランド戦では驚きのミドルシュートまで決めてみせた。チュアメニにとってはこれが代表2ゴール目だったが、あそこで仰天のミドルが炸裂するあたりにフランスの底力を感じさせる。
思えばフランスは優勝した4年前のロシア大会でもDFバンジャマン・パヴァールの超ワールドクラスと呼べるボレーシュートが炸裂するなど、意外な選手が驚きのゴールを決めることがあった。これも勝者のメンタリティと呼べるものなのかもしれない。
優勝まで残り2つ。準決勝の相手はダークホースのモロッコだ。厄介な相手ではあるが、戦力ではフランスが上回っている。決勝で再びクロアチアと顔を合わせることになるかもしれないが、フランスに連覇はあるのか。これだけ負傷者を出しながら連覇したとなれば、フランスの選手層は世界No.1と認めるしかないだろう。