指揮官スカローニの選手起用が当たっている
グループステージ初戦でサウジアラビアにまさかの敗北を喫した際にはどうなることかと思われたが、アルゼンチン代表はFIFAワールドカップ・カタール大会でベスト4まで駒を進めてきた。
チームの主役は常にFWリオネル・メッシだが、見逃せないのは青年指揮官リオネル・スカローニの修正だ。
初戦のサウジアラビア戦では中盤でベテランMFアレハンドロ・ゴメス、アンヘル・ディ・マリア、レアンドロ・パレデス、ロドリゴ・デ・パウルの4枚を先発させたが、結果が出なかったことから第2節のメキシコ戦ではスタメンを変更。ブライトンで創造性溢れるプレイを見せていた23歳のアレクシス・マカリスターを先発起用。
マカリスターは南米予選でも2試合しか出番のなかった選手だが、スカローニは本大会へ招集してきた。メキシコ戦以降は中盤の貴重なピースとして先発を続けており、スカローニの決断は素早かった。
さらに中盤では、グループ第3節のポーランド戦からベンフィカで売出し中の21歳MFエンソ・フェルナンデスも先発に抜擢。決勝トーナメントに入ってからもフェルナンデスは先発を続けており、ベスト8のオランダ戦では120分間を走り抜いた。代表デビューしたのは今年9月のことだったが、こちらもスカローニの動きは素早かった。フェルナンデスは今年2月時点では650万ユーロだった市場価値が今や3500万ユーロまで跳ね上がっており、その期待は大きい。
前線ではインテルのラウタロ・マルティネスがメッシの相棒だったが、調子が上がらないと見るやスカローニはマンチェスター・シティFWフリアン・アルバレスとスイッチ。アルバレスも国際大会の経験が浅い22歳のアタッカーだが、ここもスカローニに迷いはない。アルバレスも期待に応えて2ゴールを奪っており、大会中に若い選手を抜擢する手法でアルゼンチンは徐々に調子を上げてきた。
デ・パウル、フェルナンデス、マカリスター、フリアン・アルバレスらがメッシの能力を引き出すために走り回っているのが印象的で、スカローニが築き上げてきたアルゼンチンは総合力が高い。かつてほどビッグネームが揃っているわけではないが、ファイトできる選手が多いのだ。
ベンチスタートが続いていたディ・マリアの状態が上がるなら、準決勝のクロアチア戦はさらにオプションが増える。クロアチアも試合巧者だが、アルゼンチンの若き戦士たちはメッシをファイナルへと導けるだろうか。悪夢のサウジアラビア戦敗北から復活を果たしたアルゼンチンの優勝まであと2つだ。