【プレミアリーグ】エヴァートン1-4ブライトン(日本時間1月4日/グディソン・パーク)

三笘が止まらない。

いや、正確に言えば三笘の勢いが、三笘の輝きが、止まらないと言ったほうがいいだろう。

ドリブルでの前への推進力。ペナルティーボックスの中のGK目前までの侵入。そのプレーの影響度。存在感。すべての進化が止まらない。

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「ミトマの1ミリ」で名を馳せた三笘という男は、W杯の活躍が単なるプロローグだったかのように、W杯後のプレミアリーグで輝きを増している。

W杯が終わって所属クラブのブライトンに戻った三笘は、12月22日のカラバオカップの後半から実戦復帰。次の12月26日のボクシングデーでのアウェー・サウサンプトン戦に先発出場を果たすと、開始早々ペナルティーエリアで挨拶がわりのダブルタッチでゴール前まで切り込む。ゴールは奪えなかったものの、完全に左サイドを支配して、チームの3-1の勝利に大きく貢献した。三笘がボールを持つ度に、スタジアムには独特のどよめきが生まれていた。

続くアーセナル戦。ゲームは2-4で敗れはしたが、三笘はゴールを奪う。終了間際には「2点目ゲット!」と思わせるオフサイド判定のゴールもあり、ブライトンでの攻撃のピースとして完全に機能していた。この試合でアーセナルサポは「三笘のいるブライトンに勝ったなんて、我々はなんて強いんだ」とコメントしたという。

そして1月4日のエバートン戦はまさに三笘劇場だった。前半14分の先制ゴールは多くの関係者が絶賛し、さらにそのゴールが霞むように、ゲーム中はずっと三笘が敵陣左サイドをズタズタに切り刻んだ。

この試合で印象的だったのはカイセド、ララーナ、グロスなどのW杯出場組のチームメイト誰もが、ボールを持てばまず三笘を探していたことだ。そして三笘にボールを預ける。その後は三笘が相手DFを壊滅させてボールがゴール前に再び戻ってくるのを、トロサールやソロモン・マーチがまるでご馳走を舌なめずりしながら見る猫のように目を光らせて待っている。

そんな三笘のプレーを見たプレスやファンから「三笘がいる幸せを楽しもう。どうせ長い間はいないんだから」「三笘はもうすぐスパーズかチェルシーに行くだろう」「マドリーは8月に1億ユーロ(138億円)で三笘を獲るよ」などさまざまな声が挙がり始めている。そして現実にチェルシーが獲得を検討しているという噂もある。こんな記事を見て日本人の我々は、嬉しくないはずがない。誇らしくないはずがない。

ただ、そういう単純な気持ちよりもっと何か違う感情が湧いてきている。それがなんだろう?と思い探していたところ、ある1人のアスリートの名前を思い出した。大谷翔平。そう、ショーヘイ・オータニだ。大谷翔平が二刀流でメジャーを席巻した大谷翔平は、外国人を相手にしてとか、日本人選手としてとか、もうそんな国籍で比較評価されるのではなく、一人の野球選手として基準や規格を超えてしまった。

こんな選手がいままでいただろうか?という驚き。一瞬にして世界を変えてしまった驚き。そしてそれが日本人選手であるという驚き。を、全米中の人々がポジティブに感じているのを見る。そのときの誇らしさに、今の三笘への世界の評価を見る気持ちがどこか似ている。

大谷翔平が「SHOW-TIME」というキャッチフレーズを持っているように、三笘には「MITOMAGIC」なる言葉が生まれつつあるという。これもまた嬉しい響きだ。

三苫はMITOMAになった。どこまで進化するか?どこまで成長するか?どこまで途轍もないことをやってくれるのか?わからないほど眩しく輝いているMITOMAがいる。

「大谷翔平がメジャーで最多勝とホームラン王を同時に獲る!」と言っても、誰ももう4年前のように失笑しないように、「三笘がW杯で得点王とMVPを獲る」と言っても誰も失笑しない時代がきっと来るに違いない。

(ABEMA/プレミアリーグ)