■国籍回復を阻む司法の高い壁
コダイラ・チエコさん
この1年で一気に加速した支援だが、日本国籍を回復することは容易ではない。支援団体がこの日、オンラインで行った聞き取りの相手であるコダイラ・チエコさんは、20年前に名乗り出た。その後の調査で、日本人の父親は戦時中にフィリピンで死亡したことがわかった。
これを手掛かりに両親の婚姻記録を探したが、戦争で焼けてしまい残っていなかったため、親子関係が証明できず進展がないままだ。
日本国籍回復の申請は、弁護士が家庭裁判所に対し行う。直面するのは司法の「高い壁」だ。日本国籍回復を長年支援してきた青木秀茂弁護士は「(無国籍の)ご自身が結婚した時、洗礼証明書が教会から出てきた。そこには(日本人の)お父さんの名前がはっきり書いてあった。裁判所では『これは証拠ではない』と。『父親が現地で婚姻したという証拠がどこにも提出されていないじゃないですか』ということで終わってしまう」と実情を語る。
また、戦争によって置き去りにされたケースとして中国残留孤児の問題があり、国に対し同様の救済を求めている。「中国残留孤児は国策で、日本政府が満州国を作るため送り込んだ、夫婦ともに日本人だと。フィリピンは勝手に行ったんだと、男性が。現地で結婚して戦争の結果、2世の子どもが残されたとしても国策でやった満州国とは違うと」(青木秀茂弁護士)
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