そして、収容されている人の中に、健康上の問題がある人はいないか、間渕医師が幹部に伝えるカンファレンスが実施されていた。平日は毎日行っているという。こうした情報共有も4年前には行われていなかった。間渕医師は、収容された人の命を守るには「継続した診療が必要」と話す。

「日本政府の力によって、ここに収容されているので、少なくとも命に関わるような状況が発生した時には国として責任を持って、対応できるような環境を作らないといけないと思った」(間渕医師)

 国は、間渕医師のような常勤医師を6つの入管施設に2人ずつ、合計12人配置しようとしている。しかし現状は4人で、定員を満たしていない。不人気の主な理由は、収入が減ることや、一般の医療現場から離れてしまうこと。

 麻酔の専門医である間渕医師は技術を維持するため、月に数回、一般の病院で仕事をしている。また、海外の病院で働いた経験があるため、外国人と接する入管の仕事にも抵抗はなかったという。

入管施設での常勤医師の重要性
この記事の写真をみる(7枚)