2007年、一審で死刑判決を書いた元裁判官の熊本典道氏が無罪の心証を告白する。「今まで出ている証拠で有罪にするのは無茶だと思ったんですよ」。
熊本氏と司法修習の同期生で、元裁判官の木谷明氏は「2000年越えてからの話で、クラスの会に来て、これ(袴田事件)が無罪なんだということを話したのを覚えています。そのときは、そんな重大問題を告白しているとは思っていなかったんだけど。ずっと抱えてたんでしょうね。かなり苦しかったでしょう」と語った。
2010年、検察がそれまで拒んできた重要証拠の開示に突如踏み切った。袴田事件弁護団 主任弁護人の小川秀世氏は「上の方針が変わったから検察官は出しますよという。検察官の方の都合で出すなんていうのは、そんな制度おかしいでしょう。証拠を隠していたというのは、結局事実を隠していたということですよね。それが許せないですよね」と不信感をあらわにした。
「検察官が公判に提出することを拒否している、いわゆる未提出証拠物は、デッチ上げを明白にするために全面開示を勝取り、再審開始のための強力なバネとしなければならない」(獄中からの手紙1987年3月7日)
5点の衣類は鮮明なカラー写真も出てきて、その血痕には赤みが残っているように見えた。支援者は自らの血を採って、みそ漬け実験を行ってきた。布に付いた血痕は、長期間みそに漬けると黒くなったという。そうであれば、血痕が赤い5点の衣類は、発見直前にみそタンクに入れられたことになるため、拘束されている巖さんにはできない。
2014年に再審開始
