■独自技術「Staple核酸」と開発阻む「死の谷」

熊本大学大学院 先端科学研究部 勝田陽介准教授
拡大する

 勝田准教授らが開発した「Staple核酸」は病の原因となっているたんぱく質の量を調節できる独自技術で、すでに複数の病に薬となりうるデータが得られている。

「君たちが将来結婚して子どもが生まれたとしましょう。確率論からいうなら、この中の誰かの子どもがそうなるかもれない。その時に『治療法がないから無理です』と言われる。自分がある技術を持っていて、こういう病気を絶対に治すと本気で思っている。そこだけは絶対に曲げない」(勝田准教授の講義より)

 少しでも多くの人に関心を持ってほしい。薬の開発には乗り越えなければならない多くの壁が存在する。

「数億円でできる薬はまずない。何十億・百億円くらいの資金が必要になることは新薬をつくるとしたら覚悟しないといけない」(日本製薬工業協会 森和彦専務理事)

 さらに、薬をひとつ開発するためには動物やヒトで安全性や効果を確認する臨床試験などに10年以上もの時間がかる。日本にはこの過程で開発まで至れない深い谷「死の谷」が存在する。

「『死の谷』はすべての大学発ベンチャーが直面する現象。(日本では)『死の谷』を越えるための人・物・金・情報がなかなか得にくい」(慶応義塾大学大学院 経営管理研究科 中村洋教授)

 官民の支援や連携が十分でなく臨床試験などにかかる莫大な費用を調達できず「死の谷」に陥る。

祖母を救いたい…学生研究者の葛藤
この記事の写真をみる(16枚)