■祖母を救いたい…学生研究者の葛藤

長谷川結愛さんと祖母の君子さん
拡大する

 勝田准教授のもとで薬の研究に取り組む学生の長谷川結愛さん。祖母の君子さんは6年前、多系統萎縮症という病を患った。

「ちょっとずつ症状が進んでくる。昨日できていたことが、今日はできなくて」(祖父・晴幸さん)

 脳に異常なたんぱく質がたまり、体が動かなくなる進行性の病で、全国に1万人の患者がいる。発症すると余命はおよそ9年と言われている。

「偶然、勝田先生とお話しする機会があって、今は治せない希少疾患を治せるようになるかもしれないっていう中に祖母の病名があるのを聞いて」(長谷川さん)

 祖母に薬を届けたいと研究に励むが、病は進行し体の自由も、薬を待ち望む声さえも失われていく。

「『なんで私が』『悔しい』『悔しい辛い』って。さっきも『自分で死ねるうちに死んでおけばよかった』って」(母・暁湖さん)

 実験では病の原因となっているたんぱく質を減らすことには成功した。しかし、祖母に薬を届けることは叶わない。

「何千・何万分の1で発症する病気かもしれないですけど、私たちにとってはおばあちゃんっていう1分の1の存在なので。『Staple核酸』だったら治せるかもしれないと、希望が私の中でも見えてきたなっていう時に制度の問題がとか日本はまだとか言われたら、理解はできるんですけど納得はできなくて。せっかく技術はあるのに届けるすべが今なんでないんだろうと思っている」(長谷川さん、以下同)

「祖母だけじゃなくて全世界に待っている人がいると知ってしまった。誰かが進めていかないといけない業界だから、そこに自分もいて何かできることをやりたい」

「興味を持つということが治療薬開発の第一歩。多くの人に我々の活動に興味を持っていただいて、我々を見続けてほしい。我々は誠実に応えようと努力をする。とにかく興味を持って見続けてほしい」(勝田准教授)

 希少な病でも、すべてあわせると人口のおよそ4%。これはあなたやあなたの大切な人がその病にかかる確率でもある。

ベンチャー立ち上げと世界への挑戦
この記事の写真をみる(16枚)