サッカー日本代表の正ゴールキーパー(GK)といえば、どの選手を思い浮かべるだろうか。
日本が初のワールドカップ出場を果たした1998年のフランス大会以降、長期間に渡ってGK川口能活、GK楢崎正剛というレジェンド2人がゴールマウスを守ってきた。その後、2010年の南アフリカW杯、2014年ブラジルW杯、2018年ロシアW杯と直近の3大会では、GK川島永嗣が跡を継いでいる。
では昨今の日本代表正GKといえば?2022年11月21日に開幕となるFIFAワールドカップ・カタール大会(カタールW杯)を控え、そのポジションを争う候補選手たちについてまとめていく。
権田修一(清水エスパルス)
カタールW杯アジア最終予選では、日本が本大会出場を確定させたオーストラリア戦(3月24日、2-0)までの全9試合にスタメンフル出場し、正GKの大本命となっている権田修一。日本のGKとしてはまだまだ少ない海外移籍経験もある最有力候補だ。
ポルトガル1部のポルティモネンセでプレー(15試合出場)し、昨2021シーズンからJリーグ(清水エスパルス)に復帰した権田。チームは下位に低迷するも、安定したセービング能力を発揮している。
過去のW杯ではいずれも出場機会を得られず、大舞台での経験値という面では不安が残る。とはいえ、経験では他の多くの候補選手も条件は同じ。現時点ではやはり、最も本大会の正GKに近い存在と言えよう。
川島永嗣(ストラスブール/フランス)
長く日本代表のゴールマウスを守ってきた川島永嗣。正GKではないものの、39歳となった現在でも海外クラブ(ストラスブール)に所属し続けている。
現役の日本人GKの中でも突出した代表経験を持ち、大舞台でのPKストップなど勝負強さも見せてきた川島。一方で、前回のロシアW杯では判断ミスとも取れるプレーで失点に絡むなど、世代交代を望む声が上がったことも事実だ。
森保一監督体制(2018年7月)になって以降も、サブではあるが招集され続けている。スタメンという立ち位置でなかったとしても、おそらく最年長となるであろう川島の存在は、チーム全体の精神面のケアなどで重要視されるはずだ。
シュミット・ダニエル(シント=トロイデン/ベルギー)
ここ3シーズン、多くの日本選手を抱えるベルギーのシント=トロイデンでプレーするシュミット・ダニエル。197cmという高身長を武器とし、主力として活躍している。
日本代表では、権田、川島というベテランの壁が厚く、ここまで出場は7試合と少ない。しかし、W杯本大会に向けたメンバー選考にあたって、国内外を問わず所属クラブで出場機会を確保できていることは好条件となってくるだろう。
従ってシュミットがメンバー入りする可能性はかなり高い。残る課題は、本大会までのアピールで正GKの座を勝ち取れるかどうかだ。
谷晃生(湘南ベルマーレ)
東京五輪(2021)でU-24日本代表の正GKを務め、日本のベスト4進出に貢献した谷晃生。現時点では、間違いなく次世代を担うGKの筆頭であろう。
高いハイボール処理能力を持ち安定感も高いことから、ベテラン選手と比べても引けを取らない。自身を五輪での正GKに抜擢した森保監督がフル代表も兼任していることは、谷にとって好条件と言える。まだ21歳と若いことから、メンバー発表までにいかにアピールできるかが勝負だ。
中村航輔(ポルティモネンセ/ポルトガル)
ロシアW杯(2018)メンバーの1人であり、次世代の守護神との呼び声も高かった中村航輔。森保ジャパン発足当初は招集を受けていたが、2019年の「EAFF E-1サッカー選手権」以降は出場機会を得られていない。
元々国内での評価は高く、これまで各世代の代表でも守護神としての役割を果たしてきた中村。フル代表デビューの北朝鮮戦(2017年12月9日)で安定したパフォーマンスを発揮し、度重なるビッグセーブも披露したことから期待値は一気に高まった。
しかし、2021シーズンにポルティモネンセへ移籍してからは、出場機会も少なくくすぶっている状態が続いている。27歳とGKというポジションの年齢を考えるとまだまだ若いが、招集確率は下がるだろう。
川口能活以来の数少ない「魅せる」GKとも言われる中村。能力ももちろんだが、日本のサッカーファンを湧かせる存在としても、代表への返り咲きが待たれる選手の1人である。
東口順昭(ガンバ大阪)
Jリーグ屈指のGKの1人である東口順昭。前回ロシアW杯(2018)でも、最終的にメンバー入りを果たしている。
年齢的には36歳と、精神的な支柱としての役割も川島と被っている部分が多い。加えて今2022シーズンは、怪我の影響もありまだリーグ戦に出られていない。現状ではカタールW杯メンバー入りはかなり難しいとの見方ができるだろう。
しかし、ガンバ大阪に移籍した2014年以降、昨シーズンまではリーグ戦のほとんどで出場。結果Jリーグ戦通算の出場試合も350を超え、その経験値は疑う余地がない。早々に復帰し返り咲きを果たせるか、今後の動向に注目だ。
大迫敬介(サンフレッチェ広島)
サンフレッチェ広島には代表招集経験のある大ベテラン林卓人がおり、チーム内のライバルにも恵まれている大迫敬介。
2019年から東京五輪世代の頂点として正GKの座を守っていたが、直前で谷にポジションを奪われ、五輪本大会での出場は叶わなかった。フル代表においても、カタールW杯アジア最終予選では谷が選出され続けてきた。
しかし、W杯本大会前の数少ないテスト機会として位置づけられる6月のキリンチャレンジカップ(2日にパラグアイ、6日ブラジルと対戦)及びキリンカップサッカー(10日ガーナ、14日チリと対戦)に臨む日本代表メンバーには、これまでの谷ではなく大迫が選ばれた。
いずれにしても次代を担う守護神候補なだけに、まだまだベテラン勢が強い日本代表でも出場機会を得られる活躍を期待したい。