日本代表の森保一監督が、キリンチャレンジカップ2022のブラジル代表戦に向けて意気込みを語った。
カタール・ワールドカップ(W杯)の出場権を獲得し、7大会連続7度目のW杯出場を決めた日本。そのW杯では、2010年の南アフリカ大会を制したスペイン代表、2014年のブラジル大会を制したドイツ代表とグループステージで同居することが決定した。
世界でも指折りの強豪国と2チームも対戦することとなった日本。これまで以上に厳しい戦いが予想される中、数少ない強化試合でFIFAランキングで首位に立つブラジルとの対戦が決定した。
2日には札幌でパラグアイ代表戦を行い、4-1で快勝した日本。対するブラジルも、同日に韓国代表と対戦し5-1で快勝を収めていた。
ブラジル戦を前に記者会見に臨んだ森保監督は、ブラジル戦について「ここからW杯で結果を残すためにパラグアイ戦からスタートを切りましたが、これまでの我々ではなく、これまでの個々のレベルではなく、今までの自分達の限界を超えるということにトライしなければいけないので、全ての部分で選手たちにはトライしてもらいたいと思います」とコメント。今まで通りではなく、今まで以上のものを引き出すように選手たちにチャレンジをして欲しいと語った。
今回の試合は新たに建設された国立競技場で開催。なでしこジャパンはすでに試合を行っているが、SAMURAI BLUEにとっては初めての試合となる。
森保監督は国立でのプレーについて「ここ国立競技場は、日本のサッカーの歴史が詰まっているサッカーの聖地だと思っています」と語り、「その中で、過去の歴史を作ってきてくださった人たち、歴史をつないでくださった人たち、尽力してくださった人たちの当時の想いと未来に向けての想いが詰まった場所だと思っています」と、日本代表にとっての国立競技場の意味を語った。
「ここ国立競技場が新しくなって初めて試合ができるので、日本サッカーの発展を感じていただけるような結果を求めながら、明日の試合は全力を尽くしたいと思いますし、この国立競技場でブラジルに勝って、歴史をつなげていけるようにしたいと思っています」とコメント。新国立での初陣でブラジル戦初勝利を意気込んだ。
そのブラジル戦は強豪国に対しての現在地が測れる貴重なテストマッチとなる。「攻撃も守備もまずはアグレッシブに仕掛けていくというところ、選手たちには入りの部分で勇気を持って、アグレッシブにプレーしてほしいと思います」とゲームプランに言及。「その後ですが、これまでやってきたことを出せるようにという部分。アジアの戦いではボールを持てる時間がしっかりありましたが、ボールを持たれる時間が明日の試合はあると思う」と、これまでの戦いとは異なる可能性を指摘した。
その中では「積極的に入りの部分では戦うというところから、相手にボールを持たれた時はチームで良い守備をしながらボールを奪うチャンスを逃さない、ボールを奪って素早い攻撃を仕掛けていくところ、相手にスピードを止められたところは全員が勇気を持って関わって、ボールを保持しながら相手の守備網を崩していけるようにというところ」と守備から攻撃へ移るところを大事にしたいとし、「守から攻のところ、我慢しながら攻撃で繋げたいと思っています」と、切り替えの部分を大事にしたいとした。
また「試合展開がどうなるかわからないです」と始まってから考える部分もあるとし、「これまでもコンセプトは同じで、良い守備から良い攻撃というのは変わらないです」と、やり方を大きく変えることはしないとし、「相手との力関係、調子、守備の時間が長くなるのか、攻撃の時間が長くなるのかはチームと共有してやってきたので、全体的なコンセプトは変わらず臨機応変に戦っていくところを出せればと思います」と、ピッチ内での判断力も問われることになりそうだ。
森保監督は今回の対戦にあたりブラジル代表の試合を観て分析。その中で「対戦するということで分析の機会を与えていただきましたが、見れば見るほど色々なことができるチームだと思います」と、世界一である理由がわかるものだったとコメント。「ブラジルは華麗にプレーしているだけかというと、泥臭く我慢強く、粘り強くやるところはやって、全員でハードワークしながら持っている力を最大限発揮するということがあり、学ぶべきところはたくさんあります」と、世界一からも華麗な部分以外で学ぶことが多いと感じたようだ。
それでも「試合中、色々なことを感じながら、でも目線は同じで、我々もできると思って選手たちには戦ってもらいたいと思います」と、物怖じすることなく、しっかりとぶつかり合ってもらいたいと選手たちに期待を寄せた。
W杯に向けたこの1試合の意味については「キリンチャレンジカップでブラジルという強豪と対戦させていただき、マッチメイクで尽力してくださった方には感謝したいと思います」と語り、「W杯を見据えて戦うというところは、我々が積み上げていかなければいけないところだと思います」とし、「その強化試合の中でも1試合1試合、結果の責任は問われるというところ。我々も勝利にこだわりながら、毎試合これまで公式戦であっても、親善試合であっても、結果にこだわって一戦一戦やってきた中で、色々なことにチャレンジする、トライしてくるということは明日の試合も、目標とするW杯で最強チームを作るためにも、1試合1試合積み上げていけるように戦いたいと思います」と、結果にこだわりつつも、しっかりとトライし続けることをするとした。
その中で、ボールを奪った後の展開がキーに。奪った後のブラジルの対応に対して、どういうプレーができるかが重要だとした。
「我々がボールを奪った瞬間、相手は即座に奪い返しにくると思います。そのプレッシャーにあってボールロストしてしまうのか、回避してブラジルのゴールに向かう、ボールを保持することができるというのは試合の展開に大きく影響を及ぼします」
「奪った瞬間、攻撃に移るときにどれだけ相手のプレッシャーを掻い潜っていけるかというのをチームとして共有しながら戦っていきたいと思います」
「明日の試合の中で、ブラジルvs韓国の試合でもあったようにボールを持たせてもらえる時間もある程度あると思いますので、ボールを持てる時間、ボールを持つために自信を持ってボールを動かしながら、ボールの移動中に素早くポジションを取って相手の守備網を崩していければと思っています」
その中で、森保監督が考える試合のポイントはプレス回避だという。
「守備から攻撃に移った時のプレス回避だと思います。オリンピックや世界の強豪とこれまでのW杯であったり、強化試合であったりした時に、その部分で切り替わった時に食われるのか、回避できるのかで試合の結果が違って来た過去の歴史があると思います」
「そこを1つ予測力を早くして判断を早くして、攻撃に移っていけるようにしたいと思います。W杯で結果を残すためにも、予測力をあげることは大きな鍵になると思うので、明日の試合もテーマにして臨みたいと思います」
選手の起用については、ブラジル戦でこれまでの主軸メンバーを起用すると以前語っていたが、その考えは変わらないようだ。
「明日の先発メンバーに関しては、昨日公開で練習をお見せしているので、多くの変更はないかなと思います。基本的には昨日の練習でビブスを着ていなかったメンバーが中心となります」
「ただ、今日の練習を見てみないといけないこと、ケガや体調不良があったりもするので、基本的にはということしか言えませんが、お見せした通りの流れでいきたいと思います」
「交代については全然考えていないです。パラグアイ戦から4試合強化試合をさせていただくということで、できるだけ多くの選手にピッチに立っていただいて、プレーしてもらいたいとは思っていますが、明日のブラジル戦に関しては、どういう交代で何分プレーしてもらうかというのはまだ考えていません」