日本代表の森保一監督が、チュニジア代表戦を振り返った。

14日、キリンカップサッカー2022の決勝で日本はチュニジアと対戦した。

20年前の同じ日、日韓ワールドカップ(W杯)のグループステージ第3戦で対戦した両国。偶然の一致とはいえ、同じ日、同じ大阪(当時は長居スタジアム)での同じカードとなった。

立ち上がりから日本がボールを握りビルドアップをしながら攻撃を仕掛け、チュニジアは中盤にボールが入った時には強いプレスをかけるという展開に。

徐々に日本が主導権を握り始めると、大きくサイドを使った攻撃から伊東純也が何度もあわやというクロスをあげる。しかし、飛び込んだ鎌田大地は空振り、浅野拓磨は僅かに合わず、南野拓実はシュートを決めたがオフサイドとゴールを奪えない。

ゴールレスで後半を迎えるとチュニジアも得意のサイドを起点とした攻撃を仕掛ける。すると55分に吉田麻也の裏にパスを送ると、これがファウルとなりPKを獲得。モハメド・アリ・ベン・ロムダーネがしっかりと決めて先制する。

先にゴールを許した日本は、攻撃の形が作れず。選手を入れ替えても攻撃が活性化しないでいた中、三笘薫が投入されると左サイドを蹂躙。それでも決定機を作れないでいると、76分には再び吉田の裏が狙われ、GKシュミット・ダニエルとの呼吸が合わずに相手にボックス内でボールを奪われると、最後はフェルジャニ・サッシが決めて追加点。さらに、後半アディショナルタイムにはイサーム・ジェバリに持ち込まれミドルシュートを叩き込まれ、0-3で惨敗を喫した。

森保監督は試合後の記者会見で「まずはホームで戦うということ、チュニジアに勝ってこのシリーズを終えること、優勝してサポーターの皆さんに喜んでいただくということを考えていましたが、残念な結果になってしまいました」とコメント。敗戦を悔やんだが「手たちのトライに関しては、よくやってくれたなと思っています」とパフォーマンスを評価した。

「結果だけ見ると0-3で敗戦ということ、もちろん課題はありますが、毎試合選手を変える中で戦うことは選手たちにとっては難しいこと。その中で、選手たちにプレーしてもらったので、選手たちの責任でこういう結果になったわけではないと思います」と語り、多くのトライをした結果が招いたものだとした。

また「難しい設定の中、選手たちが我慢強く戦ってくれたことを評価したいと思いますし、勝負の分かれ目としては難しい戦いの中、自分たちのペースにしながら決定機が最初あったと思いますので、そこが決めきれず、相手に流れを持っていかれたという部分では、決定力を今後つけていけるようにしなければいけないと思います」と、前半の得点チャンスを生かせなかったことが要因だと振り返った。

W杯に向けての4連戦は2勝2敗。今回の4試合で見えた課題については「課題としてはアタッキングサードでどう攻撃の形を作っていくか、シュートに持っていくかはさらにやらないといけないですし、ビルドアップの部分でも、もっともっとミスを少なくして、相手を動かせるボールの動かし方をしながら、チャンスを作れるようにしなければいけないと思います」とコメント。「難しい状況の中で自分たちでボールを動かしながら、ロストして相手の狙いであるカウンター攻撃を受けてしまって難しくしてしまったので、ビルドアップを含めてシュートに持っていくクオリティをもっと上げないといけないと思います」と、攻撃面での大きな課題に直面したとした。

システムとしては「[4-1-4-1]の課題は、我々の良い時間帯は相手も同じ形でやってきて、上回れたところもあると思います」とコメント。「ミスマッチでも上回ることが必要ですし、我々が受け身になった時に、[4-1-4-1]から[4-2-3-1]に変えたりという部分は、選手に私の方から指示をしたり、選手たちが対応できるように試合の展開によって準備しなければいけないと思います」とし、ピッチ上での対応力ももっと身につける必要があるとした。

この試合では吉田の背後が狙われ、中盤では遠藤航へのパスを徹底的に狙われた。日本をスカウティングすれば相手も狙える部分ではあるが、「チュニジアが良いチームで我々のミスを確実に逃さずに決定機に持っていく力があったと思います」と、相手が上回っていたと語った。

ただ、「ホームということもありますし、我々は敗戦があってはいけないというのがありますが、W杯本大会で我々がこういう状況になった時に、しっかり対応できるように、今日は課題としてチュニジアの良さが出たと思います」と語り、「課題としてしっかり取り組んで本大会ではしっかり対応していきたいと思います」と、本番で同じミスを繰り返さないようにしたいと意気込んだ。

失点シーンについては「ファウルしないように足をたたんでいったと思いますが、スリッピーだったりということも含め、ペナルティエリアに相手を入らせない、ボールの出どころ、切り替えのところからしっかりとやり無駄なロストをしないようにできるしたいと思います」と、ファウルに至るまでの流れが良くなかったとした。

また、2点目はGKとの連携ミスだったが「GKに関しても、選手を入れ替えながらやってきている中、限られた選手しかできていなく、連携ができていないところは私自身が反省しなければいけないところかもしれないです」とコメント。「色々な組み合わせを試すことができて、敗戦はいけないと思いますが、選手個々とチーム全体の底上げはできたと思います」と語り、本番で結果を残すためのトライが生んだものだとした。

その点ではビルドアップ絡みのこれまでの3試合の失点も必要であったとし、「ブラジル戦は直接ビルドアップからではないですがPKに繋がったのはビルドアップのミスからでした。今日の試合の前にもそのことは話していて、チュニジア戦までの3失点は全てビルドアップからの失点だということ。ただこれは絶対やらなければいけないということ」と、失点はしているものの、ディフェンスラインからのビルドアップの重要性は選手にも伝えていたという。

「ビルドアップでカットされてしまったミスを修正して、プレッシャーを掻い潜レル、繋いで攻撃に行けるようにやっていくということを最大限トライしようと。切らなければいけない場面はあると思いますが、最初から繋ぐことを放棄して相手に渡したりクリアすればもっと相手の攻撃を受けることになり、最後はやられて失点につながる」と、簡単に蹴り出すことは避けるプランで戦っているとし、「世界と戦うために絶対にやらなければいけないこと。守から攻、ディフェンディングサードからのチャレンジだと伝えました」と、W杯で結果を残すためには、ビルドアップはやらなければいけないことだと改めて強調した。

敗戦後、ピッチ上では少し長めの円陣が組まれていた。森保監督はその内容についても言及。まずは今回の活動の評価をしたこと、そして欧州組はシーズン終了について、Jリーグ組はこれからの取り組みについてメッセージを伝えたとした。

「敗戦ということに関しては、勝って成長するということを目指してきた中で悔しい敗戦となったことで、この悔しさをバネにして、W杯本大会で結果を出せるようにしていこうという話をしました」

「この試合に向けて、今回の6月の代表ウィークの中で、結果は残念でしたが、選手たちみんなが日々努力してくれたことに関しては、『みんな最大限努力してくれたと思う』ということを伝えて、私自身はそこに何の疑念もなく、選手たちが日々努力してくれたことを評価しているということを伝えました。この努力を結果に結びつけられるように、これからも続けていこうと話しました」

「ヨーロッパ組は長いシーズンを所属チームで終えて、そのまま代表ウィークに入ってきたということで、長いシーズンが一区切りになりますので、お疲れ様でしたということ。ここから心身ともに休めてもらって、また新しいシーズンに向けて頑張ってほしいと」

「Jリーグの国内組の選手についてはこの戦いの後すぐ切り替えて、自チームに戻って、Jリーグを戦わなければいけないという部分。切り替えて自チームで活躍してほしいと」

「選手全員には自チームで存在感を発揮することが自分のために、所属チームのために、それが代表チームの強化につながると思うので、所属チームのために頑張ってほしいと伝えました」

次は国内組で臨むEAFF E-1サッカー選手権が7月に開催。ヨーロッパ組は9月の活動で再び合流する。