欧州勢に負けてばかりは許されぬ

2002年に行われたワールドカップ日韓大会から20年。当時の大会を最後に、南米勢は優勝できていない。2006年大会はイタリア、2010年大会はスペイン、2014年大会はドイツ、2018年大会はフランスと、どこか欧州勢と南米勢の間に差がついた印象もある。

しかし、今年のカタール大会では流れが変わるかもしれない。南米の2強であるブラジル代表とアルゼンチン代表を優勝候補に推す声が大きくなっているのだ。

ブラジルは2018年大会でも優勝候補には挙げられており、チッチ率いるチームはバランスが取れていると評判だ。4年前はベスト8でベルギーに敗れる残念な結果にはなったが、ネイマールやチアゴ・シウバといった当時からの主力メンバーに加え、FWヴィニシウス・ジュニオールやDFエデル・ミリトンなど新しい才能も入ってきている。ネイマールにとってラストのワールドカップになる可能性を考えると、今回のセレソンのモチベーションは特別だろう。戦力的には十分に優勝を狙える。

アルゼンチンはじわじわ人気が上がってきた印象だ。4年前は南米予選の突破にも苦労するなどチームとして形が出来ていない印象もあったが、昨年にはコパ・アメリカを制覇。GKではエミリアーノ・マルティネス、DFではクリスティアン・ロメロが入り、守備はかなり安定している。前線ではセルヒオ・アグエロやゴンサロ・イグアインといったタレントは抜けたが、インテルのラウタロ・マルティネスがリオネル・メッシと良い関係を築いている。

何よりの注目はこの6月に行われたネーションズリーグや親善試合の結果だ。前回王者フランス、ハンガリーに0-4で敗れたイングランドなど一部の欧州強豪国が苦戦していたのに対し、アルゼンチンはEURO2020王者・イタリア代表と激突したフィナリシマで3-0と圧倒。6月の戦いぶりを見る限りでは、ブラジルとアルゼンチンの方が状態は良いように思える。

また、ブラジルとアルゼンチンはワールドカップの組み合わせも悪くない。ブラジルはセルビア、スイス、カメルーンと同じグループGに入っているが、そこまで厳しいグループではない。楽に倒せる相手というわけでもないが、ブラジルがここで落ちる姿は想像しづらい。

アルゼンチンはサウジアラビア、メキシコ、ポーランドと同じグループCに入っており、こちらはブラジル以上に恵まれたグループと言える。今年に入ってからも得点力不足に苦しんでいるメキシコ、出場国の中でもかなり格下と見られるサウジアラビア、そしてロベルト・レヴァンドフスキ頼みのところもあるポーランドと、アルゼンチンは余力を残して決勝トーナメントへ向かえるはずだ。

果たして20年ぶりに南米勢のワールドカップ制覇は実現するのか。両チームに共通しているのは守備の安定感で、そこにメッシ、ネイマール&ヴィニシウスら個の力が絡めば頂点も見えてくるはずだ。