7月19日から開幕するEAFF E-1サッカー選手権2022決勝大会。日本、韓国、中国に加えて香港の代表チームが参加し、総当たりの短期決戦で優勝を争う。同大会に向けて13日、日本サッカー協会は代表選手26名を発表した。
国際Aマッチ期間ではないことから、従来の代表とは違い国内で活動する選手のみを集めたことで、いつもとは違った顔ぶれのメンバー。10年ぶりの代表入りとなったFW宮市亮をはじめ、現在Jリーグのトップを走る横浜F・マリノスからの選出が最も多い結果になった。11月カタールW杯までの数少ないテスト機会となることから、選ばれたメンバーがどれだけアピールできるかに注目だ。
一方で、これまで代表選出されてきたり、今2022シーズン活躍しているにも関わらず、残念ながら選外となってしまった国内選手も多い。ここでは、今E-1選手権にて選外となってしまった有能Jリーガーを5名紹介していく。
鈴木優磨(鹿島アントラーズ)
最近は日本代表メンバー発表のたびに話題になる鹿島アントラーズのFW鈴木優磨。国内選手のみでの構成となったE-1選手権に向けても、遂に招集はされなかった。
鈴木は今2022シーズン開幕前、シント=トロイデン(ベルギー)での武者修行を終えて古巣である鹿島へ復帰。今シーズンは主にFW上田綺世との2トップで出場機会を確保し、ゴールはもちろん味方を使った連携プレーや前線からのプレスなど、献身的のプレーでチームを牽引している。ここまで7ゴール7アシストと現在リーグ2位につける鹿島の原動力となっている。
過去に日本代表への招集はあるものの、試合での出場には至らず。森保一代表監督との確執も噂されている鈴木。確かに度々素行が悪い意味で注目を集めることもあるが、その高い能力を知る者からすれば、逃すのは惜しい選手であることも確かだ。
江坂任(浦和レッズ)
森保監督のもとで日本代表招集歴はあるものの、定着には至っていないMF江坂任(浦和レッズ)。出し手と受け手の両方でチャンスシーンを演出できるため、ボールを持てば相手にとって脅威であることは間違いない。特にゴール付近での判断力と技術は卓越したものを持っており、優れたアタッカーが近くに居れば、自分も味方も確実に生かすことができる。
現代表において前線は競争率が高いことに加えて、江坂がここ2試合スタメン出場でないことも選外となった要因として考えられる。しかし、決して得点能力が高いとは言えない日本代表。チャンスメイクや決定力などにおいて、これほど頼りになる存在はいないのではないだろうか。
稲垣祥(名古屋グランパス)
これまでも日本代表には呼ばれながら、出場機会は少ないMF稲垣祥(名古屋グランパス)。豊富な運動量を武器とし、攻守に渡って貢献度の高い選手だ。
現代表の中盤は、遠藤航、田中碧らが中心となっているが、特に替えの効かない存在であるのが、ブンデスリーガでデュエル勝利数1位となり「デュエル王」としても知られる遠藤だ。しかし、クラブのみならず代表活動においても酷使される遠藤のことを考えれば、バックアップやフォローできる人材を確保していくことは当然求められる。その中において、決してアンカー向きとは言えないが、対人能力やボール奪取能力で高い評価を得ている稲垣は適任と言える。
今回の招集メンバーにも、橋本拳人や岩田智輝といった中盤の底を担える選手はいる。しかし運動量など、こと守備面での貢献度で言えば、稲垣も決して引けを取らないことは間違いない。
常本佳吾(鹿島アントラーズ)
適切な距離感で、敵の侵入を阻止する能力に優れるDF常本佳吾(鹿島アントラーズ)。守備面はもちろんのこと、視野の広さから繰り出される前線へのスルーパスやクロスの精度など、攻撃面での貢献度も極めて高い。
常本が主戦場とする右サイドバックは、代表では長く酒井宏樹が勤めている。しかし、その酒井も最近は負傷やコンディション不良などの影響もあり代表活動の参加を見送っていた。バックアップとしては山根視来(川崎フロンターレ)の存在があるものの、決して人材豊富と言えるポジションではない。
まだ23歳と若い常本は、今後の代表候補を考える上では好材料と言える。今回の招集で選外となったことから、カタールW杯での代表活動は難しいだろう。しかし、今後は間違いなく無視できない存在になることは確かだ。
高丘陽平(横浜F・マリノス)
現在Jリーグでトップを走る横浜F・マリノスの守護神、高丘陽平も残念ながら選外となった。今回GKは、これまでの招集歴もある大迫敬介(サンフレッチェ広島)と谷晃生(湘南ベルマーレ)が順当に選ばれた。加えて、6月に行われたAFC U-23アジアカップで正GKを務めた鈴木彩艶も選出され、必然的に他のGKが入る余地はなくなった形だ。
確かに世代別の大会で安定感を見せた鈴木の選出は、後進を育てる意味でも有意義と言えるだろう。しかし、国内組のテストも兼ねる目的も大いにあるであろうE-1選手権。リーグ戦で出場機会を得られている選手が選出されず、ベテランに出場機会を阻まれている選手が選ばれることには疑問が残る。
今シーズンのJリーグでは、高丘をはじめ村上昌謙(アビスパ福岡)や上福元直人(京都サンガ)など、守備範囲やセービング能力を高く評価される選手も多い。そんな中にあって、ここまでリーグ戦は全試合フル出場とトップを走る、チームでも抜群の安定感と信頼を得ている高丘は、十分に代表に呼ばれる資格がある。