カタール・ワールドカップに臨む26人の日本代表メンバーが発表された。会見に臨み一人ひとりの名を読み上げた森保一監督の表情からうかがえるように、選出は非常に難しい作業だったに違いない。この26人の決定は、日本代表の行く末をどのように定めていくのか――。ベテランジャーナリストの大住良之と後藤健生が、徹底的に語り合った。

■セットプレーの対策は?

――大会に入るまでに、やっておくべきことは何でしょうか。セットプレーなどですか。

大住「セットプレーは今まで、意図的にやってこなかったと思う」

後藤「メンバーが決まって、ようやく最後にやるべきものだからね」

大住「親善試合でセットプレーを見せてしまっても、何の意味もないからね。最後の数日でやると思う。カナダ戦でも見せる必要はないよね。カナダ戦が終わってからやればいいという感じかな」

後藤「カナダ戦の前からやっても、試合で見せる必要はないよね」

大住「キッカーは誰かな。鎌田大地は外せない選手になったけど、久保建英はずっとピッチ上にいるか分からない」

後藤「一発で直接FKを決めるとなればすごいキッカーが必要だけど、それほどのキッカーがいないとすれば、いろいろな形をつくればいい」

大住「ここ数年、日本代表の生きたCKというのを見たことがないよね。意図のあるボールが、意図のある場所できちんと合ったのを見たことがない」

後藤「そうそう。それはつくってほしい。それをつくるのは必須だよ。ドイツ、スペイン相手に勝つとすれば、それはやらないといけない」

大住「ドイツ相手にセットプレーで点を取るというのは、プランした通りにプレーがピタリと合わないと無理だよ」

後藤「まあ、最後の1週間でやればいいことであり、やってもらわないといけないことだね」

■ドイツ戦の布陣が見えてきた

――カナダ戦の使い方は、どのように使うべきでしょうか。

大住「初戦のドイツ戦の約1週間前だから、カナダ戦の時点でトップフォームじゃなくてもいいと思うけど、ワールドカップで戦う相手の強さや速さにある程度慣れておかないといけない」

後藤「23日にトップになるために、この選手は60分、30分と見極めをしながらカナダ戦を戦う」

大住「そういうことだよね」

――初戦のドイツ戦が見えてきたような気がします。

大住「本当?(笑)」

後藤「僕は見えてきたよ」

大住「GKはどっちかな。シュミット・ダニエルでもいいように思うけど」

後藤「甲乙つけがたいよね」

大住「気迫や、シュートに対する反応だと権田修一が上かもしれないけど、ゲーム全体の流れの中でボールを受けてさばくことを考えると、シュミットが上かもしれない。本当に甲乙つけがたいね。ただ、川島永嗣が第3GKということは間違いないと思う」

大住「ということは、川島の責任はすごく大きいよね。同じくベテランの吉田麻也や長友佑都も、そう。長友はもしかしたら、あまり出番は多くないかもしれないけど」

後藤「冨安健洋が左サイドバックもできることになったからね。過去、日本代表の最終ラインにこれだけ高さのあるDFが並んだことはないよ」

大住「中山雄太だって、180センチを超えているしね」

■豊富になった選択肢

後藤「10年前には考えられないことだよ。今なら、またベルギーにいくら高さを活かして攻めてこられても大丈夫だよ。フィジカル面で、日本がそれほど劣勢ではない状況になったというのはすごいことだよね。最後に点が欲しい時に、山根視来を使う手もあるし」

大住「酒井宏樹がいっぱいいっぱいになった時、右サイドバックの候補には冨安も長友も入るけど、攻撃を考えれば山根が一番だよね。もちろん、酒井が元気に走り続けてくれれば問題ないんだけど」

――そう考えると、選択肢は多いですね。

大住「守るだけじゃなくて、勝点3を手にするには点を取らないといけないよ。CFの人選が一番の話題になるけど、前線には伊東純也がいるし、三笘薫は先発でもできるということを、この間のクラブでの試合で証明していた。それに、僕はジョーカーとして相馬勇紀に期待している。点が取れるというのがいいよね」

後藤「日本代表は、明らかに強くなっているよ」

大住「本当に、ワールドカップに連れていくメンバーを選ぶのは大変だよね」

後藤「そうだね。本当に高いレベルの中から、選手たちを選んでいるんだから」