檜舞台に臨む日本代表を支えるのは、間違いなく長友佑都になりそうだ。森保ジャパンは現地時間11月12日、カタールW杯に向けたドーハ合宿で2回目のトレーニングを実施。前日に引き続き最も大声を出してチームを鼓舞していたのは、やはり長友だった。
まだ国内組7人しかチーム合流しておらず、コーチ陣を入れても10数名での練習。やや閑散としたピッチで、「いいぞー!」、「ブラーボ!」、「それは駄目だ!」、「カバーしろ!」など長友の叱咤激励が響き渡った。
36歳のベテランになった長友は、W杯出場がGK川島永嗣と並ぶ日本人最多の4回目で、インテルをはじめ欧州で12シーズン戦うなど経験値は現代表随一。チームを盛り上げることの重要性、プレッシャーとの戦い方は文字通り熟知している。練習後にはこう語った。
「メンタル・モンスターになるやり方は身に付いている。メンタル的にゾーンの入り方が分かっているというか。緊張感とプレッシャーから恐怖や萎縮する選手もいる多いと思し、僕も昔はそうだった。でも今は逆で、超人ハルクになるイメージ。もう何でもかかってこいと。腹を括る感じですね」
日本代表やヨーロッパで強烈なプレッシャーを乗り越えていくうちに、人並み外れた境地に辿り着いたという。
「むしろ強い薬(プレッシャー)を飲みすぎて、弱い薬じゃ効かなくなってきた。アドレナリンを出すという意味でね。プレッシャーがあればあるほど覚醒できる。超人ハルクになっていくような、自分が大きくなっていくような感覚がある。これは経験ゆえです。精神っていうものは負荷が掛かれば掛かるほど、それを乗り越えれば乗り越えるほど、どんどん強くなる。ネガティブなことをポジティブに変換するのは、メンタル的な技術だと思います完全に」
今大会の日本代表は比較的若いチームで、とりわけ攻撃陣はW杯経験者がゼロ。だからこそ、若い選手たちへの気遣いを心掛けており、それが練習中の叱咤激励に繋がっている。
「(若い選手には)思い切ってプレーさせてあげたい。僕が南アフリカ(2010年)で思い切ってプレーできたのは、シュンさん(中村俊輔)とかユウジさん(中澤佑二)とかに支えてもらって、自分のプレーに集中できたから。ちょっとでも不安や弱さを抱えている選手がいたら、それをポジティブな方向に導いてあげたいなと思います」
11月13日のトレーニングからは久保建英など海外組も合流予定で、W杯に向けた準備が本格化していく。そんな中で“超人ハルク化”してピッチ内外でチームを支える長友は、引き続き極めて重要な存在となりそうだ。
取材・文●白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)
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