11月20日にFIFAワールドカップカタール2022が開幕する。今大会は、2002年に行われた日韓大会以来20年ぶりとなるアジアでの開催。さらに22回の歴史の中で、初めて冬に行われるなど、例年に比べるとイレギュラーな大会だ。
そんなカタールW杯を楽しむべく、今大会の注目選手をポジション別に5人ずつ選出。今回はセンターフォワード編として、ポーランド代表のロベルト・レバンドフスキ、フランス代表のカリム・ベンゼマ、イングランド代表のハリー・ケイン、ベルギー代表のロメル・ルカク、ポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウドを紹介する。
ポーランド代表FWロベルト・レヴァンドフスキ(バルセロナ)
ロベルト・レヴァンドフスキは、2019-2020シーズンにUEFFA欧州最優秀選手賞を受賞し、7度のブンデスリーガ得点王、ポーランド代表の歴代最多得点記録の保持者であり、名実ともに世界最高峰のストライカーの一人である。
バイエルン・ミュンヘンで爆発的な活躍を見せてきた点取屋は、ポジショニングの良さと高い決定力を武器に、ペナルティエリア内で仕事ができる選手だ。背後に抜け出すタイミングが良く、当たり負けしない強靭なフィジカルや俊敏性も彼の武器だ。
跳躍力もあり、ヘディングも強いため、前線で体を張ったポストプレーも得意としている。一人で打開していくよりも、周りに生かされてこそ力を発揮するタイプだ。シュートパターンも豊富で、様々な形からゴールを狙うことができる、「ザ・ストライカー」というタイプの選手だ。
フランス代表FWカリム・ベンゼマ(レアル・マドリード)
カリム・ベンゼマは、オリンピック・リヨンで頭角を現し、2009年からレアル・マドリードで長きに渡ってストライカーとして活躍する選手だ。2021-2022シーズンにはラ・リーガとUEFAチャンピオンズリーグで得点王に輝き、UEFAスーパーカップを含むチームの3冠獲得に貢献したことが評価され、バロンドールを受賞した。
恵まれたフィジカルとテクニックを備え、高いキープ力があり、前線で起点になってチャンスメイクできる。味方を生かすことも、自らゴールを奪うこともできる万能型のストライカーとして、世界中でその名を轟かせる存在だ。
スペースメイクに優れ、相手の嫌がるエリアに飛び込んでいく動き出しや、味方のためにスペースを空ける動きも得意としている。当然、シュート精度は圧倒的に高く、勝負を決める一撃が彼には求められている。フランス代表のW杯連覇へのカギを握る選手だ。
イングランド代表FWハリー・ケイン(トッテナム)
ハリー・ケインは、3度のプレミアリーグ得点王、4度のPFA年間ベストイレブンに選出されてきた選手であり、2018年のロシアW杯で得点王に輝いたストライカーだ。トッテナムには、2010-2011シーズンにレンタル移籍で加わって以来、クラブ一筋を貫き、多くのゴールを決めてきた。2018年からはイングランド代表の主将を務め、チームのスコアラーであると同時に、精神的支柱としての役割も担っている。
特徴はなんと言っても決定力の高さだ。ポジショニングが抜群にうまく、GKが触れないゴールの隅を狙って蹴るシュート精度や長身を生かしたヘディング、タイミングをズラしたフィニッシュなど、ゴール量産できる武器をいくつも備えている。自身のゴールだけでなく、ポストプレーも得意とし、相手マークを引きつけて味方を生かすこともできる。
ケインの特徴は攻撃のみならず、ファーストディフェンダーとしても際立っている。前線からの積極的なプレッシングでチームを献身的に支えるプレーも見どころだ。今大会もイングランドの主将としてチームをけん引し、自らのゴールでチームを勝利へ導けるか。
ベルギー代表FWロメル・ルカク(インテル)
ロメル・ルカクは、ベルギー代表の最多得点記録ホルダーであり、190cm、90kgという規格外のフィジカルが武器のセンターフォワードだ。セリエAでMVPに選ばれたことがあるストライカーは、一にも二にも、フィジカルの強さを武器にゴールに迫っていく。
自らがフィニッシャーになるだけでなく、常人離れした肉体を生かして前線でボールを収め、2列目の選手が上がってくるための時間を作り、ターゲットにもなれる。その上さらにスピードも兼ね備え、前を向いた際にはドリブルで相手をかわすことも、相手の背後でボールを受けることもできる。
2018年のロシアW杯の日本戦は記憶に新しいが、ベルギーの決勝点となった3点目は、彼のクレバーさが秀逸だった。自らシュートを打つこともできたが、あえてスルーして確実に得点につなげる選手を選んだのだ。味方を使え、自身のシュート技術も高く、ゴール前での冷静さも備えるストライカー。ベルギーの躍進はこの男にかかっているだろう。
ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッド)
サッカー界のみならず、誰もが知る世界最高峰の選手の一人が、クリスティアーノ・ロナウドだ。サッカー史上最多得点記録保持者であり、5度のバロンドール受賞をはじめ、獲得したタイトルは数知れず。名実ともに世界屈指のストライカーだ。
最大の特徴は、スピードとテクニックを生かした快速ドリブルだ。“抜き技”のバリエーションも豊富で、シザース、切り返し、股抜きなどを駆使して相手を置き去りにする。体幹が強く、トップスピードからの急停止や方向転換でもバランスを崩さない。さらには強烈なフィニッシュや打点の高いヘディングを武器にゴールを量産し続けている。
もう一つ、ロナウドの代名詞は「無回転シュート」だ。これまで、数多くのフリーキックをこの“魔球”を使って直接沈めてきた。観客の目を一手に集めるスターのオーラを放ち、ボールを持てばみんなが彼に注目する。37歳で迎える今大会、キャリアも終盤に差し掛かっている中で、“クリロナ”は母国を頂点へと導けるか。
文・渡邉知晃
写真:ロイター/アフロ