体調不良の三笘薫(ブライトン)以外の25人がドーハに集合し、いよいよ臨戦態勢に突入しつつある日本代表。11月15日の練習を経て、16日にはドバイへ移動。17日にカタール・ワールドカップ(W杯)本番前最後の調整試合となるカナダ戦に挑むことになる。

 14日時点では冨安健洋(アーセナル)が完全別メニュー。田中碧(デュッセルドルフ)も対人練習をこなせていないが、怪我でしばらく離脱していた浅野拓磨(ボーフム)と板倉滉(ボルシアMG)が復帰した。

 8日のヘルタ・ベルリン戦で脳震盪を起こした遠藤航(シュツットガルト)も無事に現地入りしており、W杯に支障はなさそう。負傷した中山雄太(ハダースフィールド)の欠場など、直前になって様々なアクシデントに見舞われた森保ジャパンだが、最低限のダメージで本大会に向かえそうだ。

 もっとも、全員が万全の状態かどうかは分からないし、連係面の問題もある。そのあたりをカナダ戦でしっかりと確認しておく必要がある。

 とりわけ、守備陣は中山と冨安の分が手薄になっているため、カナダ戦では現有戦力で十分に世界と戦えるのかをチェックしなければいけない。
 
 現時点だと、カナダ戦の先発はGK権田修一(清水)、最終ラインは右から酒井宏樹(浦和)、吉田麻也(シャルケ)、谷口彰悟(川崎)、長友佑都(FC東京)の陣容が有力。10日に現地入りし、十分な調整時間が取れている国内組を主体とした構成になるだろう。

 とはいえ、1週間後に迫っているドイツ戦を踏まえると、板倉と吉田のコンビをテストしないわけにはいかない。

「半分くらいは行ける? そうですね。監督次第ですけど、僕自身はカナダ戦に万全な状態でという思いで来ている」と、板倉は可能な限り長くプレーして実戦感覚を取り戻したいと熱望している。となれば、先発もあり得るのではないか。

 怪我のリスクは伴うものの、1週間後に世界最高峰のハイプレスと強度でぶつかってくるドイツと対峙するなら、同じくW杯出場国カナダの迫力を頭から体感しておく必要がある。冨安がドイツ戦に間に合うか微妙な情勢だけに、板倉・吉田のコンビには鉄板のディフェンスを強く求めたい。

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 左サイドバックにしても、中山がいなくなった分、長友に大きな負担がかかる。もちろん伊藤洋輝(シュツットガルト)もいるが、ヨナス・ホフマン(ボルシアMG)やセルジュ・ニャブリ(バイエルン)らを完封しようと思うなら、長友の経験値に頼らざるを得ない。

 本人は「相手が強くなればなるほど僕は価値を示せる。そろそろ信じてもらっていいですかと言いたい」と9月のエクアドル戦後にも強調していただけに、その底力を示してほしい。

 ボランチに関しては、田中が全体練習に復帰しておらず、遠藤も大事を取らなければならない状態ということで、柴崎岳(レガネス)と守田英正(スポルティング・リスボン)が軸になるはずだ。

 ただ、2人は実戦で組んだ経験が皆無に近い。エクアドル戦で柴崎と初めて試合に出た田中が「難しかったですね。やってないと分からないこともあるし」と顔を曇らせたように、守田も同様の感想を抱くかもしれない。

 とはいえ、田中と遠藤が本番に必ず間に合うという保証はないし、ベスト8以上を目ざすならターンオーバーできるだけの戦力が必要。そういう意味で新たなコンビ構築は良いチャンス。この機会を最大限に活かしてほしい。
 
 2列目のアタッカー陣は鎌田大地(フランクフルト)、伊東純也(スタッド・ドゥ・ランス)、堂安律(フライブルク)が13日に公式戦を終えたばかりで試合間隔が短い。このため、今回は早く合流した相馬勇紀(名古屋)や久保建英(レアル・ソシエダ)、クラブで出場機会のなかった南野拓実(モナコ)らがスタートから行って、あとから主力級の鎌田や伊東が投入されるパターンになりそうだ。

 そこで気になるのが南野の状態。彼はおそらくトップ下でプレーすることになるだろうが、モナコで出番を得ている時はサイドが中心で、時々トップ下に入るくらい。周囲のメンバーも異なるだけに、感覚的な難しさはあるはずだ。

 自身は「どこで使われても適応しないといけない。言い訳はできない」と覚悟を口にしていたが、カナダ戦で、今一つの出来だったエクアドル戦のようなパフォーマンスであれば、本番での出場機会が本当に減りかねない。

 南野にとってはまさにW杯出場と活躍へのラストチャンス。背番号10の意地とプライドに賭けても結果を求めたい。


 そして1トップだが、まずは怪我明けの浅野をどの程度、プレーさせられるかが1つのチェックポイントだ。

「チームの全体練習には合流しましたし、最後の試合(11月12日のアウクスブルク戦)は本当に俺も出る準備をしていました。監督からは今回は無理しないでいいよという感じで外されただけ」と本人も話していたように、実戦復帰は問題ない様子。

 ただ、W杯基準の強度をどこまで維持しながらプレーできるかというのは未知数だ。それができなければ、ドイツ戦の先発はあり得ない。

 現状では9月のアメリカ戦でスタメン出場した前田大然(セルティック)が最右翼と位置付けられるが、もともと浅野は大迫勇也(神戸)に次ぐ立ち位置だったFW。ここから1週間でどこまで巻き返せるか。

 国内組でじっくり調整できている町野修斗(湘南)、今季ベルギーで7得点と気を吐く上田綺世(サークル・ブルージュ)の起用法も気になるところ。
 
 上田は「今のチームでは攻守一体。守備ができなければ使われない」と断言しており、前からの守備意識やボール奪取能力を引き上げるべく努力してきたことを明かす。それだけに場合によっては上田がファーストチョイスに急浮上する可能性もないとは言えない。

 今のFW陣は実績も国際経験も飛び抜けた人材がいないだけに、カナダ戦で誰がチャンスを掴むのか見極めたい。

 4年前の2018年ロシアW杯を思い返しても、直前のパラグアイ戦が節目になった。17日のカナダ戦がW杯に直結することを選手たちにはしっかり認識して、貴重な実戦に挑んでもらいたい。

取材・文●元川悦子(フリーライター)