タレントを並べるだけでは勝てなかった

今回のカタール大会で優勝候補に挙げられているブラジル代表は、最終ラインから前線までワールドクラスのタレントが揃っている。しかし、チッチ率いるブラジルは堅実性が最大の売りだ。

ネイマール、ヴィニシウス・ジュニオールら攻撃陣も豪華ではあるものの、過去のブラジルと比較するとド派手なチームとまでは言えない。

英『GIVE ME SPORT』が振り返ったのは2006年・ドイツ大会だ。日韓大会制覇から連覇を狙っていたブラジルには、ロナウジーニョ、アドリアーノ、カカー、ロナウドのカルテット・マジコがいた。このうち3人がバロンドール受賞者という怪物攻撃陣だ。

左サイドバックには歴代最強クラスの攻撃的サイドバックだったロベルト・カルロス、中盤には飛び道具を備えるジュニーニョ・ペルナンブカーノもおり、得点を奪う武器は豊富に揃っていた。

GKにはジーダ、DFにはカフー、ルシオ、中盤のゼ・ロベルト、エメルソンなど堅実なプレイヤーもいたが、やはり当時は前線の4枚を筆頭に攻撃力で相手をねじ伏せるところに魅力があった。その破壊力には当時の日本代表もやられてしまい、見る者を魅了するチームだった。

しかし、結果はベスト8敗退だ。当時はフランスに敗れてしまい、完璧に機能しているとは言えないチームだった。

その4年後の南アフリカ大会ではオランダ、2014年のブラジル大会はドイツ、4年前のロシア大会はベルギーと欧州勢に立て続けに敗れており、ブラジルは欧州勢を撃破すべくサッカー界のスタンダードを取り入れながら堅実なチームを作ってきた。

派手さでは2006年大会のチームが上だろうが、全体的にまとまっているのは現在のチームだ。大量得点で相手を圧倒するゲームは多くないかもしれないが、安定感は抜群。堅い守備をベースに、セレソンは20年ぶりの頂点を狙う。