ヨルダン戦では先制ゴールを記録

日本代表がワールドカップ・カタール大会のグループステージ最終節で対戦するスペイン代表に弱点があるとすれば、センターフォワードだろう。

決定力あるセンターフォワードはスペインが長らく探しているポジションで、ダビド・ビジャとフェルナンド・トーレスが去ってからは絶対的エースと呼べる選手が不足している。

今回の代表メンバーではFWアルバロ・モラタがエース候補だったが、モラタは10月末に足首を怪我している。回復具合が気になるところで、万全の状態でワールドカップに臨めるかは分からない。

そんな中、不気味な存在となるのがバルセロナFWアンス・ファティだ。

代表監督ルイス・エンリケがファティを招集メンバーに含めたとき、スペイン国内でも話題を呼んだ。大怪我を負っていた時期もあり、ファティは2020年10月以降1度も代表戦に出場していなかったからだ。

今年9月の代表戦もバルセロナで十分にプレイタイムが増えていなかったことから招集を回避。それでもエンリケはファティを諦めず、カタールへ招集する決断を下した。

スペイン『MARCA』によると、エンリケはこの判断について「最後まで悩んだことの1つだが、私は他の選手よりファティに賭けた。難しい時期を経験していたこともあって最後まで悩んだが、アンスの実力には疑問がない」と語っていた。

今季バルセロナでも20試合で3ゴールと数字が上がっていないため、招集に疑問を抱いた人もいるかもしれない。まさにギャンブルとの表現が正しい。

ただ、滑り出しは良い。スペイン代表は16日にヨルダン代表と親善試合をおこない、そこで先発したファティは13分に先制点を記録。ワールドカップへ向けての調整としては、理想的な親善試合になったのではないか。

エンリケも「ファティのパフォーマンスは良いニュースで、我々にとってもヨルダン戦のゴールは良いものだった。彼のプレイに満足している。それは我々の助けとなるだろう」と手応えを口にしている。

日本にとっては厄介な存在となり得るが、ファティはベストな状態へと戻ってくるのか。大怪我をする前の得点感覚は本物で、勢いに乗ればスペインの中で最も危険な点取り屋になるかもしれない。