ついに幕を開けたカタール・ワールドカップ。森保一監督が率いる日本代表は、いかなる戦いを見せるか。11月23日、初戦の相手はドイツ。ベスト8以上を目ざすサムライブルー、26の肖像。今回はMF三笘薫(ブライトン)だ。

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 今、個人で最も違いを生み出せる日本人アタッカーの一人であることに、異論の余地はないだろう。

 ただ、もともとドリブルの能力は高く、日頃から見慣れている川崎のチームメイトでも、口々に“薫のドリブルは止められない”と語っていたほど。大きく成長したのは、その突破力をタイミング良く活かすためのポジショニングや動き出し、状況判断などだ。

 さらに、逆サイドにボールがある時のポジショニングやチャンスを確実に仕留めるシュート技術など。そうしたプレーの幅を広げながら、ドリブルという最大の武器は決して錆び付かせない。

 普段からあまり感情を表に出すタイプではないが、内に秘める向上心は並外れたものがある。川崎のU-10から育ち、風間八宏監督が掲げたスタイルに従って、技術に磨きをかけてきた三笘はトップ昇格の打診を受けたが、本当にプロで通用する強さを身に付けるため、筑波大への進学を選択した。
 
 そんな三笘が大きく注目されたのは2年生の時。天皇杯の仙台戦でプロチーム相手に2ゴールを記録したのだ。同年に上級生たちに混じってユニバーシアード代表に選ばれて、金メダルを獲得した。

 そして3年生の時に、旗手怜央(セルティック)とともに、2年後の川崎加入が内定した。正式にプロ入りしてからのJリーグでの活躍ぶりは周知の通りだが、日本代表の基準で見れば、最初から飛び抜けていた訳ではない。

 東京五輪のチームにおいても堂安律(フライブルク)や久保建英(R・ソシエダ)、三好康児(アントワープ)といった、すでにA代表でプレーしていたアタッカーが揃うなかで、与えられたチャンスで結果を出しながら、段階的に序列を上げていった。

 東京五輪では相馬勇紀(名古屋)と同ポジションでライバルだったが、チーム練習後に1対1を一緒にやるなど、お互いを高め合いながら、健全な関係を構築していた。東京五輪は惜しくもメダルに届かなかったが、三笘にとっても世界を知る貴重な経験になった。
 
 そしてプレミアリーグのブライトンと契約した気鋭のアタッカーは、ベルギーの環境で揉まれながら、次第に存在感を高めた。ユニオン・サン=ジロワーズではフェリス・マッズ監督、ブライトンでは短い期間ながらグレアム・ポッター監督(後にチェルシーの監督に就任)のもとでサッカーを学んだ。

 選手たちが擦り合わせながら作り上げていく日本代表において、メディアの前で疑問をぶつけたこともあった。チームがより良い方向に行くために、思ったことや疑問を正直に伝えるのも三笘の良さである。
 
 本大会が近づくにつれて、森保一監督も対戦相手に応じた具体的な指示を選手に伝えるようになった。おそらく森保監督なりの考えがあってのプランニングだろうが、三笘にとっては本番で力を発揮しやすい状況にある。

 主戦場となる左サイドには、9月のアメリカ戦で守備面の評価を高めた久保がおり、東京五輪でライバルだった相馬もメンバー入りした。もともと左で起用されることが多かった南野拓実(モナコ)は基本的に中央で起用されることになりそうだが、三笘が大舞台でいつ、どのように能力を発揮して日本を勝利に導くのか。現時点では期待しかない。

文●河治良幸

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