サッカー日本代表は12月1日に行われるカタールワールドカップのグループステージ第3戦・スペイン代表戦に向けた準備の最終段階に入っている。
29日の練習後に取材に応じたMF柴崎岳は、決勝トーナメント進出のかかった大一番に向けてスペイン代表の「どういったところに強みと弱みがあるのかを共有している最中」だと明かした。
これまで日本代表が戦ったドイツ代表戦やコスタリカ代表戦を改めて詳細に振り返りながら、スペイン代表のグループステージ2試合も丁寧に分析している。細かい戦術面への言及は避けながらも、柴崎は「まだまだ意思統一できるところはたくさんあると思うし、まだまだ準備段階だと思うので、残された時間でさらにブラッシュアップできればいい」と前向きな姿勢を示した。
2018年のロシアワールドカップではチームの主軸としてベスト16進出に貢献した。そのうえで柴崎はベルギー代表に敗れて惜しくもベスト8進出を逃した4年前のリベンジを強く意識している。
だが、今大会はグループステージ2試合を終えて未だ出番なし。怪我なく毎日のチーム練習に参加できている状況ながら、ピッチに立つチャンスを与えられていない。それでもサムライブルーの背番号7はチームの勝利に貢献できる場がくることを信じ続けている。
「1本のパスで局面を変えることを強みにしているので、そこにチャンスがあるのかなと。いろいろな想像はできますけど、僕の中ではゴールが欲しい時に相手に少し怖さを与える意味でも、そういったプレーが非常に重要になるかなと思います」
相手にボールを握られて劣勢を強いられても、諦めない。柴崎は自分の強みでもある必殺のラストパスをいかにしてゴールにつなげられるか、イメージを膨らませているようだ。そして、「大前提としては引き分け狙いではなく、勝利を目指してチームとして取り組んでいるところ」とも述べる。
スペイン代表の戦い方や選手個々の特徴を頭に叩き込んだうえで、実際に試合が始まってから柔軟に対応できるようチーム内で確固たる共通認識を作っておくことの重要性も解いた。
「試合前にあれこれ言っても全く想像と違った形になることもある。重要なのは試合に入ってから即座に対応したり、(試合に)出ている11人だけではなく、ベンチも含めて同じ『画』を描いて、その試合に適応していくことが必要だと思います」
日本代表はグループステージ2試合連続で試合途中でのシステム変更に踏み切った。それが功を奏したのが初戦のドイツ代表戦で、苦境を打開するのに至らなかったのがコスタリカ代表戦だった。
スペイン代表との大一番で勝ち点3をつかむには、戦術・戦略の構築だけでなくピッチ上での判断や監督の決断など、あらゆる面で一切のミスが許されない。最初の1秒から試合終了の笛が鳴るまで全員が同じイメージを共有して戦い続ける必要がある。
そうした経験も踏まえ、柴崎は与えられたチャンスを生かし、自らの「1本のパスで局面を変え」てスペイン代表を打ち倒すために力を溜めている。
(取材・文:舩木渉)
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