【試合展望】アルゼンチンの相手はポーランド 引き分けなら敗退の可能性も
カタール・ワールドカップ(W杯)の大会11日目は、グループCとグループDの最終戦が行われる。前回王者のフランス代表がすでに決勝トーナメント進出を決めている一方で、FWリオネル・メッシにとって最後のW杯になるとされている南米の優勝候補アルゼンチン代表は突破を懸けてポーランド代表との決戦に臨む。また、サウジアラビア代表とオーストラリア代表にはアジア勢として決勝トーナメント進出の期待が懸かる。
■フランス×チュニジア
グループD第3戦
キックオフ:現地時間11月30日18時(日本時間12月1日0時)
放送・配信:ABEMA
注目選手:ランダル・コロ・ムアニ(フランス)、ワフビ・ハズリ(チュニジア)
すでに突破を決めているフランスは、敗れたとしても1位通過が濃厚という極めて楽な状況にある。そのため、このゲームは大きなターンオーバーを行うことが常套手段になる。直前になってメンバー入りを勝ち取ったフランクフルトで日本代表MF鎌田大地とチームメイトのFWランダル・コロ・ムアニや、FWキングスレイ・コマンといった若手アタッカーにチャンスが回るだろう。20歳になったばかりのMFエドゥアルド・カマヴィンガのプレーも楽しみなところだ。
チュニジアの突破条件は「勝利したうえでもう1試合が引き分け、デンマークが勝利した場合は得失点差や総得点で上回る」というもの。つまり、まずは勝利しなければ何も始まらない。フランスとの対戦とはいえ、突破を決めている上にターンオーバーが見込まれるというのはチャンスを感じさせるもの。代表通算24ゴールのFWワフビ・ハズリらの攻撃陣がフランスのスキを突いていきたい。もう1試合の経過次第では、試合終盤に猛攻撃を仕掛ける必要に迫られる可能性もある。
■オーストラリア×デンマーク
グループD第3戦
キックオフ:現地時間11月30日18時(日本時間12月1日0時)
放送・配信 ABEMA
注目選手:マシュー・ライアン(オーストラリア)、ミッケル・ダムスゴーア(デンマーク)
オーストラリアの突破条件は「勝利あるいは、引き分けた場合はフランスの引き分け以上」というもの。引き分けでは突破の可能性がないデンマークが攻勢に出る可能性が高く、アジア最強GKの一角でもあるマシュー・ライアンの活躍は必須だろう。そのうえで、チュニジア戦で勝利を導いたJ2ファジアーノ岡山でプレーするFWミッチェル・デュークの2試合連続ゴールも期待される。もし同点で試合が推移した場合は、フランス戦の動向に一喜一憂することになるかもしれない。
デンマークは「勝利したうえでフランスの引き分け以上、チュニジアが勝利の場合は得失点差や総得点で上回る」という突破条件となり、引き分け以下は敗退が決まる。それだけに、少なくともゴールを奪わなければならない。大舞台に戻ってきたMFクリスティアン・エリクセンの活躍はもちろん、昨年の欧州選手権の準決勝で芸術的なフリーキックを決めたMFミッケル・ダムスゴーアの一発にも期待したい。このようなゲームは得てしてセットプレーで動くものだ。
■ポーランド×アルゼンチン
グループC第3戦
キックオフ:現地時間11月30日22時(日本時間12月1日4時)
放送・配信:ABEMA
注目選手:ヴォイチェフ・シュチェスニー(ポーランド)、リオネル・メッシ(アルゼンチン)
ポーランドは引き分け以上で突破が決まり、敗戦した場合も大敗せずに別会場が引き分けるか、メキシコが勝利して得失点差などで上回れば突破できる。優位な状況にあるが、追い込まれたアルゼンチンを相手にするのは世界中のどのチームにとってもタフな仕事だ。キーマンは何と言ってもユベントスの正GKで今大会でもベスト候補の1人であるGKヴォイチェフ・シュチェスニー。今大会ではPKストップまで披露して好調なだけに、アルゼンチンの猛攻を支え切れるか。
アルゼンチンは勝利すれば突破が確定する一方、引き分けではサウジアラビアが勝利した瞬間に敗退する。メキシコが勝利した場合も複雑な条件があるため、深く考えずにとにかく勝利を目指すしかないだろう。何と言っても注目は第2戦のメキシコ戦で強烈ミドルを決めてチームを救ったメッシだが、その周囲を固めるFWラウタロ・マルティネスやMFアンヘル・ディ・マリアらの攻撃陣も得点力を発揮することが求められる。メッシのラストW杯が続くか、それともここで終わるかの一戦だ。
■サウジアラビア×メキシコ
グループB第3戦
キックオフ:現地時間11月30日22時(日本時間12月1日4時)
放送・配信:ABEMA
注目選手:ムハンマド・アルオワイス(サウジアラビア)、イルビング・ロサーノ(メキシコ)
サウジアラビアは勝利すれば突破する。引き分けた場合は別会場が引き分ければいいが、決着がつけば細かい得失点差の条件を満たさないと突破できない。そのため、まずは勝利を目指したいところだ。とはいえ、勝利以外に可能性のないメキシコの攻撃を受ける時間もある程度は発生するだろう。初戦のアルゼンチン戦勝利の立役者でもあるGKムハンマド・アルオワイスには再び期待が懸かる。決して楽な状況や対戦相手ではないが、1994年アメリカW杯以来の16強進出へのチャンスが巡ってきている。
メキシコは前提条件の勝利をしたうえでポーランドが勝利するか、他の結果の時に勝ち点4で並ぶポーランドかアルゼンチンを得失点差で上回る必要がある。そのため、勝利はもちろん1点でも多く欲しいのがこのゲームのテーマだ。どちらかと言えば相手の力を上手に利用して逆を取るような試合巧者ぶりが持ち味のチームだが、このゲームはそうも言っていられない。FWイルビング・ロサーノらの攻撃陣はキックオフの笛と同時に圧力を掛けていく必要があるだろう。
【グループ展望】グループCはどのチームも勝ち点3を目指す展開か グループDは“番狂わせ”の予感も
■グループC
1位 ポーランド 勝ち点4(得失点差+2)
2位 アルゼンチン 勝ち点3(得失点差+1)
3位 サウジアラビア 勝ち点3(得失点差-1)
4位 メキシコ 勝ち点1(得失点差-2)
■グループD
1位 フランス 勝ち点6(得失点差+4)
2位 オーストラリア 勝ち点3(得失点差-2)
3位 デンマーク 勝ち点1(得失点差-1)
4位 チュニジア 勝ち点1(得失点差-1)
この両グループは1位と2位が決勝トーナメントの初戦で対戦することもあり、お互いの結果も気になるところ。例えばグループCでアルゼンチンが2位通過、グループDでフランスが1位通過となれば、前回のロシアW杯と全く同じベスト16での対戦が実現することになる。
グループCは両会場の結果が互いに影響を与え合う難しい状況になっているが、メキシコ以外に共通するのは勝利すれば突破が確定すること。メキシコも勝利が大前提になるので、どのチームもまずは勝ち点3を目指して激しいゲームを展開するだろう。ただし、後半の半ばを過ぎれば他会場の結果次第では同点、あるいはビハインドでもゴール前で守備を固めるパターンや、リードしていてもさらに猛攻を仕掛けるような場合もある。その辺りの駆け引きも注目ポイントだ。
グループDはフランスが優位な状況は変わらない。余裕のあるフランスにチュニジアが生き残りをかけて挑む姿もW杯に数ある番狂わせを起こしてきたシチュエーションに重なる。ただ、基本的には2位通過を争うオーストラリアとデンマークのゲームが文字通りの決戦になることが予想される。昨年の欧州選手権でベスト4のデンマークを、アジアの5位から大陸間プレーオフまでを経て本大会にやってきたオーストラリアが抑え込むのか。要注目のカードと言えそうだ。(FOOTBALL ZONE編集部)