カタール・ワールドカップを戦っている日本代表は、現地時間12月5日の18時(日本時間は5日の24時)に悲願のベスト8進出を懸けたラウンド16のクロアチア戦へと臨む。

 ドイツ戦に続く大金星を挙げたスペイン戦から中3日でのゲームだ。チームはスペイン戦翌日にオフを取り、2日間の準備期間でクロアチア対策を練る。

 オフ明けの12月3日の練習では別メニュー調整が続いていた酒井宏樹が戻り、スペイン戦にぶっつけ本番で出場した遠藤航も元気な姿を見せた。一方で体調不良の久保建英が不在。クロアチア戦への出場は不透明な状況である。

 2勝1敗、4得点・3失点でグループEを首位突破した日本に対し、クロアチアはベルギー、モロッコ、カナダと同組になったグループFを1勝2分の2位で勝ち上がった。光ったのは3試合で4得点・1失点という堅固な守備である。

 森保一監督も「非常に柔軟で、粘り強く戦えるチームだなと思います。個の能力も素晴らしく組織力も発揮できるチーム」と話し、決勝進出を果たした4年前のロシア・ワールドカップ(フランスに敗れ準優勝)での戦いを含め「見習うべきところがあるなというのと同時に、日本人のメンタリティに似ている」と語っている。

 選手たちが話すクロアチアのイメージも同様だ。「しぶとく、固い」と堂安律が口にすれば、田中碧も「どんなシチュエーションにも対応できる。柔軟性、対応力に長けたチーム。少し日本に似ている相手かな」と評す。

“ヴァトレニ”(炎の意味)の愛称を持つように、激しく熱く戦うクロアチアの基本システムは4-3-3。グループリーグではメンバーを固定しており、アンカーのマルセロ・ブロゾビッチ(インテル)、インサイドハーフのルカ・モドリッチ(レアル・マドリー)、マテオ・コバチッチ(チェルシー)の中盤トリオがチームの顔である。

 現に田中も「テクニカルな選手が多く、3人はチームの核だと思う。そこの攻防はすごく鍵になってくると感じます」と警戒を強めた。
 
 4-3-3といえば、並びはスペインと同じで、スペイン対策を応用するなら日本は3-4-2-1でスタートするか。

 もっともスペイン戦でワールドカップデビューを飾り、見事な守備を見せた谷口彰悟はスペインとの違いをこう語る。

「詳しい話はできませんが、スペインはブスケッツが常にそこ(中盤の底に)にいましたが、クロアチアはブロゾビッチやモドリッチらが流動的に動いて、例えば低い位置に落ちてボールを受けにいくこともあれば、(アンカーの)ブロゾビッチはボックス内に入ってもくる。様々な動きをします。ただその辺りはスカウティングをできていますし、実際に見て自分たちがどう捕まえにいくのか、誰がどう付くのかを、今合わせている最中です。

 システムは同じような形ですが、間違いなくスペインとクロアチアはやっていることが異なります。その意味でスイッチ、頭の切り替えはやっていきたいと思います」

 ただし、日本の基本的な方向性は変わらない。ドイツ戦とスペイン戦では、前半は守備的に耐え、後半に一気呵成に攻めて金星を挙げてきたが、田中もこう話す。

「ブレないことが大事だと思います。相手が変わったからといって、今までやってきたことを変えるのはリスクがあるでしょうし、そういう意味では、どの試合も前半は0-0でいきたい。もちろん点を取れればそれに越したことはないですが、0-0を目指すのは自分たちの戦い方であるので、まずはそこをブレずにやっていきたいです」

 メンバーは改めて前日トレーニングを確認しなければ分からないが、酒井、遠藤、冨安健洋が先発に戻る可能性はある。

 そのなかで日本は、ドイツ戦やスペイン戦のように“勝利の方程式”に持ち込めるか。クロアチアの“黄金の中盤”をケアしながら、悲願のベスト8進出を決める歴史的な勝利を掴みたい。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト特派)

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